「低所得Ⅰ・Ⅱ」はどこで分かる? 保険証廃止後の区分の確認方法

結論:70歳以上の利用者の「低所得Ⅰ・Ⅱ」は、保険証には書かれていません。いまは①マイナ保険証によるオンライン資格確認(本人が限度額情報の提供に同意したとき)か、②限度区分が併記された資格確認書のどちらかで確認します。どちらでも確認できないと一般区分として扱われます。
さらに令和8年8月診療分から、70歳以上の外来(個人ごと)の月額上限が低所得Ⅰは8,000円のまま、低所得Ⅱは11,000円になり、これまで同額だった2つの区分で負担が分かれました。区分の確認漏れが、そのまま利用者の自己負担の差になります。
SECTION 01 何が変わったのか:認定証の終了と、令和8年8月の改定
低所得Ⅰ・Ⅱは、もともと保険証ではなく「限度額適用・標準負担額減額認定証」に記載されていました。この認定証は、令和6年12月2日以降、原則として新規発行されなくなりました(すでに発行済みのものは有効期限まで使えます)。代わりの確認手段が、マイナ保険証のオンライン資格確認と、限度区分を併記した資格確認書です。
加えて、高額療養費制度が令和8年8月診療分から見直され、70歳以上の外来(個人ごと)の月額上限と、新設の年間上限は次のとおりです。
| 区分 | 月額上限(外来・個人) | 年間上限(8月〜翌7月) | 世帯の月額上限 |
|---|---|---|---|
| 低所得Ⅰ | 8,000円(据え置き) | — | 15,700円 |
| 低所得Ⅱ | 11,000円(これまで8,000円) | 96,000円 | 25,700円 |
| 一般 | 22,000円(これまで18,000円) | 216,000円 | 61,500円 |
図1 70歳以上の外来の月額上限(個人ごと)の改定前後
低所得Ⅰと低所得Ⅱは、どちらも世帯全員が住民税非課税です。低所得Ⅰは、そのうち各所得が必要経費・控除を差し引いて0円になる世帯、低所得Ⅱは低所得Ⅰ以外の非課税世帯、という分け方です。判定をするのは保険者(市区町村や後期高齢者医療広域連合)で、事業所が所得を計算して決めるものではありません。
SECTION 02 現場での確認方法:3つの手段と優先順位
図2 低所得Ⅰ・Ⅱの確認の流れ
古い認定証をお持ちの利用者もいます。有効期限内であれば引き続き使えますが、期限が切れたあとは更新されないため、早めに上の2つへの切り替えを案内しておくと、窓口でのやり直しが減ります。
SECTION 03 訪問看護で気をつけたい点
区分は毎年見直される
低所得の判定は、毎年8月ごとに前年の所得をもとに見直されます。利用者の世帯状況(同居家族の課税状況など)が変わると区分も変わりうるため、年に一度、8月の更新後に確認し直すのが目安です。
令和8年8月の改定後は、ⅠとⅡで外来の上限が違う
低所得Ⅱの外来上限は11,000円になりました。ⅠとⅡを同じものとして扱っていた場合、請求や利用者への説明で食い違いが出ます。説明の際は「低所得Ⅱの方は月11,000円まで」「低所得Ⅰの方は月8,000円まで」と、区分ごとに伝えます。
確認の結果は記録に残す
いつ、どの方法(オンライン資格確認・資格確認書)で、どの区分を確認したかを記録しておくと、あとで請求や問い合わせがあったときに説明しやすくなります。
なお、公費(難病・精神通院など)が併用される利用者では、自己負担上限額が別に決まる場合があります。その場合は、公費の受給者証と医療保険の区分を合わせて確認してください。
SECTION 04 チェックリスト
- 70歳以上の利用者について、低所得Ⅰ・Ⅱの確認が必要な方を洗い出している
- マイナ保険証の利用者には、限度額情報の提供への同意が取れているか確認している
- 資格確認書の利用者には、限度区分の併記がされているか確認している
- 区分が確認できない利用者に、同意または併記申請の案内をしている
- 令和8年8月以降、低所得Ⅰ(8,000円)と低所得Ⅱ(11,000円)を区別して説明している
- 確認した日・方法・区分を記録している
- 毎年8月の更新後に、区分を確認し直す手順にしている
SECTION 05 Q&A
Q. 古い「限度額適用・標準負担額減額認定証」は使えますか。
A. 有効期限内であれば使えます。ただし令和6年12月2日以降は原則として新規発行されず、更新もされません。期限が近い方には、マイナ保険証での同意か資格確認書への併記を案内してください。
Q. 資格確認書の表面に区分が載っていません。低所得ではないのでしょうか。
A. そうとは限りません。区分の併記は申請が必要なため、載っていないだけの可能性があります。本人・家族に申請の有無を確認し、併記が必要なら市区町村の窓口を案内します。
Q. マイナ保険証の画面に区分が出ません。
A. 本人が限度額情報の提供に同意していない可能性があります。同意が取れれば表示されます。どうしても確認できないときは一般区分として扱われるため、あとで区分が判明した場合の取り扱いは、国保連や支払基金など請求先に確認してください。
Q. 低所得Ⅰ・Ⅱは訪問看護ステーション側で判定できますか。
A. できません。判定は保険者が行います。事業所は、保険者が示した区分を確認する立場です。
SECTION 06 ご利用・採用のご案内
ふくろう訪問看護リハビリステーション
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SECTION 07 参考にした資料
- 福岡市「高額療養費支給制度」(国民健康保険). 令和8年8月3日更新. https://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/hokennenkin/hp/kokuminkenkouhoken/09-00.html
- 福岡市政だより 令和7年7月1日号「後期高齢者医療制度のお知らせ」. https://www.city.fukuoka.lg.jp/shicho/koho/fsdweb/reiwa7_dayori/0701/0601.html
- 厚生労働省 保険局「オンライン資格確認等について」(中央社会保険医療協議会 総会 総-3). 令和5年10月11日. https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001155187.pdf
- 西東京市「高額療養費(令和8年8月診療分〜)」(70歳以上の外来月額上限・年間上限の金額の確認に使用). https://www.city.nishitokyo.lg.jp/kurasi/kokuho/kyufu/kougakuryouyou.files/R0808kougakuryouyouhi.pdf
制度の金額・運用は改定されることがあります。実際の請求や取り扱いは、福岡県国民健康保険団体連合会・社会保険診療報酬支払基金・各保険者の最新の案内でご確認ください。(令和8年10月6日時点)

