家族とともにいる:ゼロから始める訪問看護

ゼロから始める訪問看護第10回/全10回

家族とともにいる

意思決定支援から看取りまで

連載の最後は、いちばん言葉にしにくいところです。 本人がどう生きたいかを聞くこと、家族を支えること、そして看取りに立ち会うこと。 教科書に手順が書いてあるようで、実際にその家に入ると、書いてあるとおりには進みません。 この回では、国のガイドラインが求めていることと、研究でわかっていること、 そして現場で実際にやることを、順番に置いていきます。 読み終えたときに、最初の一言を切り出せるようになることを目指します。

この連載の現在地 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 第10回 家族とともにいる

この回の結論

  1. 意思決定支援は、書類を作る作業ではありません。国のガイドラインが求めているのは、本人の意思を中心に、繰り返し話し合い、そのつど文書にまとめることです。一度決めて終わりにはなりません。
  2. 話し合いを重ねること自体の効果は、まだ十分に証明されていません。132の無作為化試験を調べた系統的レビューでは、最期に受けた医療が本人の希望と一致したかを調べた研究は12件しかなく、効果が示されたのは3件でした。
  3. だから訪問看護がすることは、書類を集めることではありません。その人が今どう考えているかを知り続け、変わったらチームに伝えることです。それは週に何度も家に入っている職種にしかできません。

SECTION 01 意思決定支援は、書類集めではない

新人のうち、意思決定支援と聞いて思い浮かべるのは、たいてい紙です。 事前指示書、リビングウィル、心肺蘇生を望むかどうかの確認書。 書いてもらえば支援したことになる、という気がしてしまいます。

けれども、紙に書いてある内容と、その人が今そう思っているかどうかは、別のことです。 気持ちは変わります。半年前に「延命は望まない」と書いた人が、孫の結婚式が決まった途端に 「それまでは頑張りたい」と言うことがあります。どちらも本心です。

訪問看護がこの領域で持っている強みは、そこにあります。 月に一度の外来では、その揺れは見えません。週に何度も家に入っていると、 言葉が変わった瞬間に立ち会えることがあります。

  • 紙は、話し合いの記録であって、結論ではない書いてあるとおりに実行するための道具ではなく、話し合いがどこまで進んだかを示すものです。
  • 変わったこと自体が、いちばん重要な情報「前は言っていなかったことを言った」は、そのまま記録に残す価値があります。第8回のとおり、本人の言葉は要約せずに残します。
  • 決めさせるのが仕事ではない決められないまま揺れている状態も、その人の状態です。急かして決めさせた結論は、あとで家族を苦しめることがあります。

SECTION 02 国のガイドラインは、何を求めているか

日本には、この領域の基本文書があります。 厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」です。 平成19年に作られ、平成30年3月に改訂されました。 改訂の背景には、高齢多死社会が進み、在宅や施設での療養と看取りの需要が増えたことがあります。 つまり、このガイドラインは病院のためだけの文書ではありません。

医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされた上で、患者が医療従事者と話し合いを行い、患者本人による決定を基本として終末期医療を進めることが重要。人生の最終段階における医療の内容は、多専門職種からなる医療・ケアチームにより、医学的妥当性と適切性を基に慎重に判断する。 出典:厚生労働省「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の概要より(中央社会保険医療協議会 総会 資料)

実務の観点から、押さえるべき点は3つです。

図1 方針を決める手続き。順番が決まっている 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(平成30年3月改訂)より。 1 本人の意思が確認できる場合 本人と医療従事者が十分に話し合い、本人が意思決定を行う。その内容を文書にまとめておく。 説明は、時間の経過、病状の変化、医学的評価の変更に応じて、そのつど行う。 2 本人の意思が確認できない場合 家族等が本人の意思を推定できるなら、その推定意思を尊重し、本人にとって最善の方針をとる。 「家族がどうしたいか」ではなく「本人ならどう言うか」を聞く。ここを取り違えない。 3 合意が得られない場合 複数の専門家からなる委員会を設置し、治療方針の検討および助言を行うことが必要とされている。 担当者どうしで抱えて決める場面ではない。事業所として、主治医とともに扱う。 ※ 決定は多職種からなる医療・ケアチームで慎重に行う。訪問看護師が単独で方針を決めることはない。 ※ 平成30年の改訂では、在宅や施設での療養と看取りが増えたことを踏まえた見直しが行われている。

図1 新人が迷いやすいのは2です。家族の希望と、本人の推定意思は別のものだという前提を、必ず置いてください。

注意

家族から「本人には言わないでください」と頼まれることがあります。 その気持ちには理由があり、頭ごなしに否定するものではありません。 ただし、本人に伝えるかどうかを、訪問看護師が一人で決めてはいけません。 頼まれた事実と、その理由をそのまま記録に残し、主治医と管理者に伝えてください。 チームで扱う話であって、その場で約束する話ではありません。

SECTION 03 話し合いの効果は、どこまで確かめられているか

ここでも、根拠を確かめておきます。 アドバンス・ケア・プランニング(ACP、日本では「人生会議」とも呼ばれます)は、 近年とても強く推奨されてきました。ところが、その効果を調べた研究をまとめると、 思っていたほど単純な話ではないことがわかります。

1992年から2021年5月までに発表された無作為化試験132件を調べた系統的レビュー(Malhotra C, et al. 2022)があります。

図2 話し合いは記録を増やす。ただし、最期の医療が希望と一致したかは、ほとんど調べられていない Malhotra C, et al. BMJ Open 2022 より作図。1992年〜2021年5月の無作為化試験を対象。 調べられた無作為化試験 このうち64%が質の高い研究と評価されている。研究の数そのものは多い。 132件 実際の最期の医療が、本人の希望と一致したかを調べた研究 いちばん知りたいはずのことが、ほとんど測られていない。測り方もそろっていない。 12件 そのうち、効果があったとされた研究 残りの9件では、はっきりした効果は示されなかった。 3件 わかっていること:話し合いは、意思の記録や、家族・医療者との会話を一貫して増やす。 わかっていないこと:それが最期の医療の中身や、医療費にどう影響するかは、結果がまちまち。 ※ 著者らは「ACPの主たる目的と評価すべき結果を、あらためて考え直す必要がある」と述べている。 ※ 効果がないという意味ではない。何を目的にするかが定まっていない、という指摘である。

図2 同じ問題意識から、専門家による批判的な論考も出ています(Morrison RS, et al. JAMA 2021)。推奨されている手法ほど、限界を知っておく価値があります。

この結果を、現場でどう受け取るか。 当ステーションの考え方は、紙を増やす方向ではなく、聞き続ける方向に使うというものです。 書類を1枚作ることを目標にすると、書けた時点で終わってしまいます。 そうではなく、その人が今どう考えているかを、訪問のたびに少しずつ知っていく。 変わったら、変わったとチームに伝える。それなら、週に何度も家に入っている職種にしかできません。

SECTION 04 最初の一言を、どう切り出すか

新人がいちばん困るのは、話の切り出し方です。 死の話をいきなり持ち出すわけにはいきませんし、聞き方を間違えると、 「見放された」と受け取られることもあります。実務的には、次の順番が使えます。

  • 体調の話から、暮らしの話へ移す「最近、しんどい日が増えていますね」から「これから先、どんなふうに過ごしたいですか」へ。医療の話としてではなく、暮らしの話として入ります。
  • 本人の口から出た言葉を、拾って返す「もう十分生きた」「迷惑をかけたくない」。こうした言葉が出たときが入口です。流さずに「もう少し聞かせてください」と返します。
  • 決めることではなく、教えてもらうこととして聞く「決めておきましょう」ではなく「どう考えているか教えてください」。答えが出なくてよい、と最初に言うと話しやすくなります。
  • 大事にしていることを聞く「何をされたくないか」より「何を大事にしたいか」のほうが答えやすい。痛みがないこと、家にいること、家族に迷惑をかけないこと。ここが決まると、個別の選択はあとから導けます。
  • その場で結論を求めない。次につなぐ「今日はここまでで大丈夫です。また聞かせてください」。第7回で扱った、期限を切って戻る形と同じです。
実務のコツ

話を切り出しやすいのは、状態が落ち着いているときです。 急に悪くなってからでは、本人も家族も話ができる状態ではありません。 入院から戻ってきた直後、季節の変わり目、誕生日。区切りのタイミングに、 「これから先のこと、少し聞かせてもらっていいですか」と一言置いておくと、 次に悪くなったときの土台になります。

他職種はここを見ている

本人が話したことは、聞いた人の中に留めないでください。 主治医は、その情報がないまま治療方針を立てることになります。 ケアマネジャーは、その情報がないままサービスを組みます。 「本人がこう言っていた」は、チームで最も共有されにくく、最も必要とされている情報です。 第8回で見た訪問看護報告書の「特記すべき事項」欄は、ここでも使えます。

SECTION 05 家族をみる——介護者は、もう一人の対象

在宅の看取りが成り立つかどうかは、本人の状態だけでは決まりません。 そばにいる家族が持ちこたえられるかどうかで決まります。 ここを見ていないと、最期の数日で「やっぱり入院を」となることがあります。 それが悪いわけではありませんが、防げた消耗であることも多い。

  • 睡眠時間を聞く「眠れていますか」ではなく「何時に寝て、何時に起きて、夜中に何回起きますか」。数字で聞くと実態が出ます。
  • 体重と食事を聞く介護している人自身の食事が抜けていることは珍しくありません。第5回で見たとおり、台所とゴミにその痕跡が出ます。
  • 口にした言葉を、そのまま記録する「もう限界です」「早く楽になってほしい」。こうした言葉は、要約せずに残してください。ケアマネジャーが動く材料になります。
  • 「よくやっていますね」を、具体的に言うねぎらいは形式ではありません。「夜中に2回起きて体位を変えているのは、簡単なことではありません」と、見ている事実を添えて言います。
  • 休むことを、提案として出すレスパイトや短期入所は、家族が言い出しにくいものです。こちらから選択肢として出すと、頼みやすくなります。
注意

家族が限界に近いサインは、たいてい言葉ではなく生活に出ます。 家の中が急に荒れる、薬の管理が崩れる、こちらの訪問時に不在が増える、 逆に何時間も話し込むようになる。 これらは「家族の性格」ではなく、疲弊の徴候として扱ってください。 気づいたら、その日のうちにケアマネジャーと管理者に伝えます(第9回)。

SECTION 06 看取りが近づくと、何が起きるか

家族がいちばん怖いのは、これから何が起きるかを知らないことです。 知らないまま夜を迎えると、少しの変化でも救急車を呼ぶことになります。 先に説明しておくだけで、防げる救急搬送があります。 説明は、起きてから慌ててするものではなく、起きる前にしておくものです。

図3 最期に向かう数週間で起きること。順番はおおむね決まっている 個人差は大きい。時期の目安であって、予定表ではない。前後することも、飛ぶこともある。 数週間前 食べる量が減り、眠っている時間が増える 食べないから弱るのではなく、身体が食べることを必要としなくなっていく時期。 数日前 飲み込みにくくなり、意識がはっきりしない時間が増える 手足が冷たくなり、色が変わる。尿の量が減る。会話が減り、応答が遅くなる。 数時間前 呼吸の間隔が不規則になり、のどが鳴ることがある あごを動かすような呼吸になることがある。分泌物が動く音は、本人の苦しさとは限らない。 その時 呼吸が止まり、脈が触れなくなる 静かに止まることが多い。家族が目を離した数分の間に、ということも珍しくない。 説明 これらは苦しんでいるのではない、と先に伝えておく 家族が最も恐れるのは、苦しませてしまうこと。起きる前に説明があるかどうかで変わる。 ※ 「食べさせないと弱ってしまう」と考える家族は多い。無理に飲食を勧めることが苦痛になる時期がある。 ※ 痛みや呼吸の苦しさがあるときは、我慢させない。緩和の手立てがあるので、必ず主治医に相談する。

図3 この図は家族に見せるためのものではありません。看護師が、その家に合う言葉で説明するための下敷きです。

SECTION 07 その時が来たら——呼ぶのは119番ではない

在宅で看取る方針が決まっている場合、呼吸が止まったときにまず連絡するのは主治医です。 ここは、事前に家族と何度も確認しておく必要があります。 動転した家族が119番に電話すると、救急隊は救命処置を始めなければならなくなります。 本人と家族が望んでいなかった形になってしまうことがあります。

図4 在宅で看取る方針が決まっている場合の手順 方針が決まっていない場合、予期していなかった急変の場合は、この手順ではない。第6回の初動に戻る。 1 主治医に連絡する 死亡を確認し、死亡診断書を書くのは医師。看護師が死亡の判断を伝えることはない。 2 家族に、急がなくてよいと伝える 医師が着くまで時間があってよい。声をかけても、手を握っても、何もしなくてもよい。 3 気づいた時刻と、その時の様子を控える 誰が、何時何分に、どういう状態で気づいたか。あとで家族が知りたがることでもある。 4 医師が着くまで、そばにいる 何かをするための時間ではない。家族が受けとめるための時間として置いておく。 × しなくてよいこと 119番通報、蘇生処置、急いで身体を整えること、家の中を片づけること。 ※ 死亡診断書を交付できるかどうかの判断は医師が行う。看護師が家族に見通しを断定して伝えない。 ※ 身体を整えるケアは、医師の確認のあとで、家族の希望を聞きながら行う。一緒に行うことが多い。

図4 この手順は、事前に家族と共有しておくものです。紙に書いて、電話の横に貼っておくと、その夜に効きます。

制度メモ

在宅での看取りに関わることは、制度上も訪問看護の役割として位置づけられています。 訪問看護療養費には訪問看護ターミナルケア療養費があり、 また機能強化型訪問看護管理療養費の施設基準では、 ターミナルケアの件数が実績要件のひとつに置かれています (機能強化型1では前年度20件以上、機能強化型2では15件以上など)。 看取りに関わることは、制度が訪問看護に期待している機能そのものです。

SECTION 08 見送ったあとにすること

その場が終わっても、仕事は残ります。 そして、ここで手を抜くと、家族の記憶に残るのはそこになります。

  • 身体を整えるケアを、家族と一緒に行う医師の確認のあと、希望を聞きながら行います。手を動かしてもらうことが、受けとめる時間になることがあります。無理に誘わないこともまた大事です。
  • 使っていた医療機器と薬の扱いを伝える酸素、吸引器、麻薬。返却や処分の手順は決まっています。家族が困るところなので、紙で渡してください。
  • 関わっていた全員に連絡するケアマネジャー、ヘルパー、薬局、福祉用具、通所。訪問予定が入ったままだと、その事業所が翌朝そのまま訪ねてくることになります。
  • 記録を、その日のうちに完成させる時刻、経過、連絡した相手。第8回のとおりです。あとから書けるものではありません。
実務のコツ

別れ際に、家族へ渡してほしいものが1つあります。 「あのときのご本人の様子」を、こちらの言葉で伝えることです。 「先週、庭の花のことを話しておられました」「昨日、娘さんの声にうなずかれました」。 家族は、最後の数日のことを何度も思い返します。 そのときに、自分たちが見ていなかった時間の話が1つあると、支えになることがあります。

SECTION 09 見送ったあとの、自分のこと

最後に、看護師自身の話を書いておきます。 ここを飛ばす教科書が多いのですが、1年目にとっては、いちばん必要な話かもしれません。

担当していた人が亡くなったあと、しばらく引きずるのは普通のことです。 あのとき別の判断をしていたら、と考えてしまうのも普通です。 問題は、それを一人で抱えて、誰にも言わないことです。

  • 事業所で振り返る。ただし、犯人を探さない第6回と同じです。見落としがあったかを裁く場ではなく、次に同じ状況が来たときの手順を決める場にします。
  • つらかったと言ってよい感情を持ったまま仕事をするのが、この職業です。平気なふりを続けた人から辞めていきます。
  • よかったことも、言葉にして残す「最後まで家にいられた」「痛みが取れていた」「家族が間に合った」。うまくいったことを言語化しないと、記憶に残るのは失敗だけになります。
  • 眠れない、思い出して涙が出る状態が続くなら、相談するそれは弱さではなく、反応です。管理者に伝えてください。一人で持ちこたえる話ではありません。
当ステーションの視点

10回かけて伝えたかったのは、一人にしない、ということだけです

この連載は、訪問看護の経験がないまま入職した看護師が、 ひとりで訪問して、観察して、判断して、報告できるようになるまでの道のりを、順番に書いてきました。 制度の入口から始めて、訪問の組み立て方、からだの見方、暮らしの見方、 異変への気づき方、報告、記録、連携、そして看取り。

並べてみると、覚えることが多いように見えます。実際、多いです。 けれども、10回を通していちばん多く書いたのは、技術の話ではありませんでした。 わからないときに、どうするかの話です。 迷ったら見に行く。判断がつかないなら電話する。整っていなくても持ち込む。 形が違うだけで、毎回同じことを書いていました。

訪問看護は、その家に入るときは一人です。それは変えられません。 変えられるのは、その一人が、後ろに誰かがいる状態で立っているかどうかです。 段階を戻すことを失敗と呼ばない、深夜の電話を業務の中断と呼ばない、 迷った回数を隠さなくていい。当ステーションが用意したいのは、その後ろ側です。

1年目が終わるころ、この連載のチェックリストを見返してみてください。 全部に印がついていなくてかまいません。 去年は言えなかった「わかりません」が言えるようになっていれば、それでいちばん大事なところは進んでいます。 ここまで読んでくださって、ありがとうございました。

採用のご案内

ふくろう訪問看護リハビリステーションは、
訪問看護が未経験の方を歓迎しています。

この連載は、訪問看護の経験がないまま入職した看護師が、ひとりで訪問して、 観察して、判断して、報告できるようになるまでの道のりをそのまま書いたものです。 言いかえれば、当ステーションが新しく入った人と一緒にたどる順番そのものです。 経験がないことは、ここでは前提であって、条件ではありません。

1. いきなり一人にしません 見学から一部実施、メイン担当、見守り、単独訪問へ。段階を戻すことを失敗と呼びません。
2. 医師との距離が近い環境 同じ法人にふくろう訪問クリニックがあり、迷ったときに相談できる相手がすぐ近くにいます。
3. 「わかりません」と言える その日のうちに報告できることを、技術より先に身につけてほしいと考えています。
いちばん早いのは、当ステーションへ直接ご連絡いただくことです
  1. 日程が早く決まります。間に人が入らないぶん、お問い合わせから見学、面談までを最短の日程で組めます。
  2. 条件を、決める人と直接相談できます。勤務日数、1日の訪問件数、オンコールの有無といった働き方の話を、伝言でなくその場でやりとりできます。
  3. 入職祝い金20万円を進呈します。直接応募限定紹介手数料がかからないぶんを、求職者の方に還元します。
まずは見学だけでも歓迎します/お電話・メールどちらでも

ブランクのある方、病棟以外の経験しかない方、まず話だけ聞いてみたいという方も、お気軽にご連絡ください。

1年目チェックリスト(第10回ぶん)

  • 意思決定支援が、書類を作る作業ではないと説明できる
  • 「これから先のこと」を、自分の言葉で切り出せる
  • 「何をされたくないか」より先に「何を大事にしたいか」を聞いている
  • 本人が話したことを、要約せずに記録に残している
  • 本人の意思が確認できないとき、家族の希望と本人の推定意思を分けて考えられる
  • 家族から「本人には言わないで」と頼まれたとき、一人で約束していない
  • 介護している家族の睡眠時間と食事を、数字で聞けている
  • 看取りが近づいたときに起きることを、家族に事前に説明できる
  • 在宅で看取る方針のとき、まず主治医に連絡すると家族に伝えている
  • 亡くなったあと、関わっていた全事業所に連絡している
  • つらかったときに、それを事業所で言えている

Q&A よくある質問

Qこれから先のことを聞こうとすると、本人が話をそらします。無理に聞かないほうがいいですか。
Aそらされたら、その日はそこで引いてください。ただし「そらされた」という事実は記録に残します。話したくないことも、その人の意思表示のひとつです。何度か訪問を重ねるうちに、別の話の流れで出てくることがあります。焦って結論を出させると、あとで家族が「本当にそう思っていたのか」と苦しむことになります。決めさせるのが仕事ではありません。
Q家族が「もう食べられないなら病院で点滴を」と言います。どう答えればいいですか。
Aその場で是非を答えないでください。判断は主治医と本人・家族の話し合いで決まるものです。看護師がすることは2つあります。ひとつは、家族が何を心配しているのかを具体的に聞くこと(苦しませたくないのか、見捨てたように感じるのか、周囲に責められると思っているのか)。もうひとつは、その内容をそのまま主治医に伝えることです。家族の言葉の裏にある理由が伝わると、医師の説明の仕方が変わります。
Q初めての看取りに立ち会うのが怖いです。何をすればいいのかわかりません。
A初回は一人で行かせません。それが前提です。そのうえで、その場でやることの多くは「何もしないでそばにいること」です(図4)。処置をしていないと役に立っていない気がしますが、家族にとっては、専門職がそこにいて落ち着いていることが、いちばん大きな支えになります。手順は図4のとおりで、覚えることは多くありません。怖いと感じていること自体を、事前に管理者に伝えておいてください。
Q亡くなったあと、自分の判断が正しかったのか考え続けてしまいます。
A考えること自体は、悪いことではありません。ただし一人で考え続けないでください。事業所での振り返りは、責任を確定させる場ではなく、次に同じ状況が来たときの手順を決める場です(SECTION 09)。そして、うまくいったことも必ず言葉にしてください。振り返りが反省会だけになると、記憶に残るのは失敗だけになります。眠れない、思い出して涙が出るという状態が続くなら、そのことを管理者に伝えてください。

連載「ゼロから始める訪問看護」全10回

  1. 訪問看護という仕事の全体像——病棟と何が逆転するのか
  2. 制度の入口——使う保険と、指示書という1枚
  3. 訪問1回の組み立て方——玄関の前から次回の予約まで
  4. からだをみる——「その人の平常値からのズレ」で読む
  5. 暮らしをみる——情報は家の中に置いてある
  6. 「いつもと違う」に気づき、動く——予測と急変時の初動
  7. 報告・連絡・相談——SBARと「今すぐ/今日中/次回まで」
  8. 記録と書類——訪問看護記録書・計画書・報告書
  9. 多職種連携——誰が何を持っていて、何を待っているか
  10. 家族とともにいる——意思決定支援から看取りまで

REFERENCE 参考資料

  1. 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」平成30年3月改訂(https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197701.pdf
  2. 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン 解説編」(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000197722.pdf
  3. 中央社会保険医療協議会 総会「個別事項(その12)人生の最終段階における医療・ケア」令和5年12月8日(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001176508.pdf)※ガイドラインの概要、死亡の場所の推移
  4. 厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定について【訪問看護ステーション向け】」令和8年3月10日版(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001671099.pdf)※機能強化型訪問看護管理療養費の要件(ターミナルケアの実績)
  5. 厚生労働省保険局医療課「訪問看護計画書等の記載要領等について」令和8年3月27日 保医発0327第10号(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001681763.pdf
  6. Malhotra C, Shafiq M, Batcagan-Abueg APM. What is the evidence for efficacy of advance care planning in improving patient outcomes? A systematic review of randomised controlled trials. BMJ Open. 2022;12(7):e060201. doi:10.1136/bmjopen-2021-060201
  7. Morrison RS, Meier DE, Arnold RM. What’s Wrong With Advance Care Planning? JAMA. 2021;326(16):1575-1576. doi:10.1001/jama.2021.16430
本記事は、公開されている法令・通知・ガイドライン等をもとに、訪問看護の実務に必要な範囲を整理したものです。 制度の取扱いは改定や個別の事情によって変わることがあります。実際の判断にあたっては、 主治医、所属事業所の管理者、審査支払機関、地方厚生局等の窓口にご確認ください。 個々の健康上の問題については、かかりつけ医にご相談ください。
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この記事を書いた人

福岡生まれ、筑紫丘高校卒業、九州大学医学部卒業後、東北の地域中核病院で初期研修医・救急医として勤務し、その後東京の国立がん研究センター中央病院、東京大学病院に勤務。地元の福岡に帰ってきて2023年1月に:ふくろう訪問クリニック(旧:つくし訪問クリニック早良)を開院。2025年5月に医療法人「ふくろうの樹」設立。2025年11月「ふくろう訪問看護リハビリステーション」を開院。

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