特別管理加算と記録の書き方——監査で突っ込まれない指示書・計画書・記録書の整え方【2026年6月改定対応】特別管理加算と記録の書き方

特別管理加算は、訪問看護の加算のなかでも「算定している事業所が多く、監査で書類を突き合わせられることも多い」加算です。理由ははっきりしていて、この加算は訪問した回数ではなく「利用者の状態」と「計画的な管理」に対して支払われるからです。回数は訪問記録を見れば分かりますが、状態と管理は、指示書・計画書・記録書に書かれていなければ存在しなかったことになる。この記事では、2026年6月の診療報酬改定後の最新の通知にもとづいて、特別管理加算とは何か、医療保険と介護保険で何が違うか、そして監査で突っ込まれない指示書と記録の整え方を、一次資料へのリンクつきで整理します。
この記事の結論を先に3行で
- 特別管理加算は「状態(別表第八など)」「体制(24時間連絡できる体制)」「計画的な管理」の3つが揃って初めて算定できる。状態に該当しているだけでは足りません。
- 監査で見られるのは、指示書・計画書・記録書Ⅱ・報告書・請求(レセプト)の5枚に同じ状態が同じ言葉で書かれているか。どこか1枚に無ければ、そこが指摘の入口になります。
- 2026年6月から、記録には実際の開始・終了時刻と評価の記載が求められ、指示書・計画書・記録書の2年保存が義務になりました。加算の記録は「請求のため」ではなく「看護の説明責任」として書くと、結果として監査にも強くなります。
SECTION 01 特別管理加算とは何か——「回数」ではなく「状態と管理」への評価
訪問看護の報酬は、訪問1回ごとの基本の費用(医療保険なら訪問看護基本療養費、介護保険なら訪問看護費)が土台にあり、その上に月単位の管理の費用や加算が積み上がります。特別管理加算は月1回、その利用者について「特別な管理を必要とする状態」にあり、事業所がその管理を計画的に行った場合に加算されるものです。
医療保険では訪問看護管理療養費の加算として位置づけられ、重症度等の高い状態(別表第八の第1号)なら5,000円、それ以外の別表第八の状態なら2,500円です[1][3]。介護保険では訪問看護費の加算として、特別管理加算(Ⅰ)500単位/(Ⅱ)250単位(いずれも1月につき)で、区分支給限度基準額の枠外の加算です[8][9]。
ここで大事なのは、加算の名前が「特別管理」であることです。国が評価しているのは「気管カニューレが入っている人を訪問した」という事実ではなく、「気管カニューレが入っている人について、観察と処置と家族指導を計画に位置づけ、毎回の訪問でそれを実施し、記録し、主治医と連携した」という管理の営みです。介護保険の留意事項通知は、単にカテーテルが留置されているだけでは足りないことを、ドレーンチューブの例で「留置カテーテルと同様に計画的な管理を行っている場合は算定できる」と表現しています[11]。
図1 特別管理加算は「状態」「体制」「管理」の3本柱で成り立つ。監査で見られるのは、この3本がそれぞれ書類で証明できるかどうかです。
この3本柱を頭に置くと、この記事の後半は読みやすくなります。SECTION 02で柱1(状態)を医療保険と介護保険で対比し、SECTION 03で柱2(体制)と柱3(管理)を整理し、SECTION 04以降で「書類にどう書くか」に入ります。
SECTION 02 対象となる状態——医療保険(別表第八)と介護保険(第6号)は同じではない
「特別管理加算の対象は別表第八」と覚えている方が多いのですが、それは医療保険側の話です。介護保険の特別管理加算の対象は「厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等」(平成27年厚生労働省告示第94号)の第6号に書かれていて、別表第八とよく似ていますが、同じではありません[9]。まず対照表で全体を見ます。
| 区分 | 医療保険別表第八(5,000円/2,500円) | 介護保険第6号(500単位/250単位) |
|---|---|---|
| 重症度の高い状態 (5,000円/Ⅰ 500単位) |
第1号:在宅麻薬等注射指導管理、在宅腫瘍化学療法注射指導管理、在宅強心剤持続投与指導管理、在宅気管切開患者指導管理を受けている状態/気管カニューレ/留置カテーテルを使用している状態 | イ:同じ4つの指導管理を受けている状態/気管カニューレ/留置カテーテルを使用している状態 |
| 在宅療養指導管理を受けている状態 (2,500円/Ⅱ 250単位) |
第2号:在宅自己腹膜灌流、在宅血液透析、在宅酸素療法、在宅中心静脈栄養法、在宅成分栄養経管栄養法、在宅自己導尿、在宅人工呼吸、在宅持続陽圧呼吸療法、在宅自己疼痛管理、在宅肺高血圧症患者、在宅難治性皮膚疾患処置(2026年6月追加)の各指導管理 | ロ:在宅自己腹膜灌流、在宅血液透析、在宅酸素療法、在宅中心静脈栄養法、在宅成分栄養経管栄養法、在宅自己導尿、在宅持続陽圧呼吸療法、在宅自己疼痛管理、在宅肺高血圧症患者の各指導管理 ※在宅人工呼吸・難治性皮膚疾患は入っていない |
| 人工肛門・人工膀胱 | 第3号:人工肛門又は人工膀胱を設置している状態 | ハ:同じ |
| 褥瘡 | 第4号:真皮を越える褥瘡の状態 | ニ:真皮を越える褥瘡の状態(NPUAP分類Ⅲ度・Ⅳ度、またはDESIGN分類D3・D4・D5) |
| 点滴注射 | 第5号:在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者(医療機関側の算定が前提) | ホ:点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態(主治医の週3日以上の指示+看護職員が週3日以上実施) |
出典:保発0305第19号(令和8年3月5日)第2の1(1)・第5の3[3]、厚生労働省告示第94号 第6号・第7号[9]、老企第36号 第2の4(19)[8]。
表1で押さえるべき違いは3つです。
- 人工呼吸器の人は医療保険で見る介護保険の第6号に「在宅人工呼吸指導管理」が無いのは、人工呼吸器を使用している状態が別表第七(訪問看護が医療保険の給付になる疾病等)に含まれていて、そもそも介護保険の訪問看護費を算定しないからです。介護保険側の空白は「対象外」ではなく「そちらの保険では起きない」という意味です。
- 2026年6月に医療保険側だけ「在宅難治性皮膚疾患処置指導管理」が加わった令和8年度診療報酬改定で、表皮水疱症など重症の難治性皮膚疾患を持つ利用者への訪問看護を充実させる観点から、在宅難治性皮膚疾患処置指導管理を受けている状態が別表第八の第2号に追加されました[1][2]。この方は週4日以上の訪問と特別管理加算(2,500円)の対象になります。介護保険の告示には追加されていません。
- 点滴注射は入口が違う医療保険は「医療機関が在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している」ことが条件で、介護保険は「主治医の指示があり、かつ看護職員が実際に週3日以上実施している」ことが条件です。介護保険では「指示だけ」でも「実施だけ」でも足りません(老企第36号 第2の4(19)⑥)[8]。
- 「在宅○○指導管理を受けている状態」=医療機関がその指導管理料を算定している状態です。ステーションの看護師が「在宅酸素をしている」と判断して該当させるものではありません。主治医の医療機関が何を算定しているかを確認し、その確認の日付と方法(指示書の記載、医療機関への照会など)を記録に残します。
- 在宅麻薬等注射指導管理は「注射」です。医療用麻薬を内服や貼付剤で使っている末期がんの方は、この項目には該当しません(末期の悪性腫瘍として別表第七=医療保険の対象にはなります)。
- 在宅自己疼痛管理指導管理は、植込型脳・脊髄電気刺激装置による疼痛管理(医科点数表C110)を指します。PCAポンプによる麻薬注射は前項の「在宅麻薬等注射指導管理」、内服のみの疼痛コントロールはどちらにも該当しません。
SECTION 03 状態に該当するだけでは足りない——「体制」と「計画的な管理」
柱2:体制——医療保険は届出が要件、介護保険は届出させる
医療保険の特別管理加算は、留意事項通知上「当該利用者又はその家族等から電話等により看護に関する意見を求められた場合に常時対応できる体制その他必要な体制が整備されているものとして地方厚生(支)局長に届け出た訪問看護ステーション」が算定するものです[3]。九州厚生局の届出一覧では受理番号「訪看25」として、24時間対応体制加算と同じ別紙様式2で届け出ます[6]。届出をしていないステーションが状態だけを根拠に算定すると、それは体制要件を満たさない請求になります。
介護保険では、老企第36号が「特別管理加算については、届出が加算の算定要件ではないが、利用者や居宅介護支援事業所が訪問看護事業所を選定する上で必要な情報として届け出させること」と書いています[8]。算定要件ではないものの、届出をしていない事業所が算定していると、運営指導では「届出をしていない理由」を問われます。医療・介護の両方で届け出ているかを、まず確認してください。
柱3:計画的な管理——通知が「記録すること」と明記している2つの状態
特別管理加算の留意事項で、記録の中身まで明文で書かれているのは2つの状態です。ひとつは褥瘡、もうひとつは点滴注射です。
この2つ以外の状態(留置カテーテル、気管カニューレ、人工肛門、各種指導管理)については、通知は記録の項目を列挙していません。だからこそ、監査では「計画的な管理をしていたことを、どの記録で示しますか」と聞かれます。答えは計画書と記録書Ⅱです。計画書にその状態に対する看護の目標・観察項目・処置・頻度が書かれ、記録書Ⅱに毎回の観察結果と実施内容が書かれていれば、それが「計画的な管理」の証明になります。逆に、計画書に「全身状態の観察」しか書かれておらず、記録書Ⅱに「バルーン異常なし」しか書かれていないと、加算の根拠は薄くなります。
加えて、医療・介護のどちらの通知も「訪問の際、症状が重篤であった場合には、速やかに医師による診療を受けることができるよう必要な支援を行うこと」を留意事項に置いています[3][8]。特別管理加算の利用者で状態が悪化したとき、主治医に連絡した日時と内容が記録に残っているかは、この一文とセットで見られるところです。
令和8年度改定では、特別管理加算に直接の変更はありませんが、記録の土台にかかわる次の点が明文化・義務化されました[1][3][4]。
- 訪問看護は「漫然かつ画一的なものとならないよう、看護目標及び訪問看護計画に沿って行う」こと。利用者の状況を踏まえずに一律に日数・回数・時間・人数を定めることは認められない(留意事項通知 第4の3)。
- 目標達成の程度と効果を評価し、評価の内容を訪問看護記録書に記録すること(第4の4)。
- 事業所の日々の記録に実際の訪問開始時刻と終了時刻を記録すること(第4の6)。
- 訪問看護記録書・指示書・計画書・報告書等を整備し、完結の日から2年間保存、正確かつ最新の内容を保つこと(運営基準 第30条第2項)。
- 計画書・報告書の押印欄は廃止、指示書の押印欄も削除(従前様式も使用可)。
特別管理加算の記録も、この作法の上に乗ります。「加算のための記録」を別に作るのではなく、毎回の記録書Ⅱの中に、その状態に対する観察・実施・評価が入っている状態を目指してください。
SECTION 04 監査で見られる5枚の書類——同じ状態が、同じ言葉で書かれているか
個別指導では、指導月以前の連続した2か月分の訪問看護療養費請求書をもとに、関係書類を閲覧しながら面接懇談方式で進められます[13][14]。つまり監査官の手元には最初にレセプトがあり、そこに「特別管理加算 5,000円」とあれば、その根拠を書類の側に遡って探すことになります。遡る順番は、請求 → 記録書Ⅱ → 計画書・報告書 → 指示書です。どこかで状態の名前が途切れると、そこが指摘の入口になります。
図2 特別管理加算の根拠は1枚の書類に集まっているのではなく、5枚の書類が同じ状態を同じ言葉で指していることで成り立ちます。1枚でも途切れると、そこから遡れなくなります。
指示書——主治医に「該当欄」を埋めてもらうことが最初の仕事
訪問看護は、主治医から交付された指示書に基づいて行われます(留意事項通知 第4の7)[3]。特別管理加算の根拠として最初に見られるのも指示書です。訪問看護指示書の様式(医科点数表の別紙様式16)には、特別管理加算の状態と対応する欄があらかじめ用意されています[5][15]。
| 指示書の欄 | 特別管理加算との対応 | 無いと突っ込まれる点 |
|---|---|---|
| 褥瘡の深さ | 「DESIGN分類 D3・D4・D5/NPUAP分類 Ⅲ度・Ⅳ度」の該当に○。真皮を越える褥瘡(第4号・ニ)の根拠 | ○が無い、またはd2相当なのに算定している。記録書Ⅱの深さ評価と指示書の○が食い違っている |
| 装着・使用医療機器等 | 留置カテーテル(部位・サイズ・交換頻度)、気管カニューレ(サイズ)、経管栄養(経鼻・胃瘻、サイズ、交換頻度)、酸素療法(流量)、中心静脈栄養、人工呼吸器(設定)、人工肛門・人工膀胱など | 「その他」にも記載が無い。カテーテルの部位が不明で、記録書の管理内容と対応が取れない。交換頻度が空欄で「計画的な管理」の頻度が示せない |
| 病状・治療状態/投与中の薬剤 | 在宅酸素療法、在宅中心静脈栄養法、麻薬等の持続注射など、医療機関で算定している指導管理料の裏づけになる記載 | 指示書に治療内容の記載が無く、「在宅○○指導管理を受けている状態」を確認した根拠が事業所側に残っていない |
| 点滴注射の指示 (在宅患者訪問点滴注射指示書/特別訪問看護指示書) | 医療保険:在宅患者訪問点滴注射指示書(有効期間7日以内、薬剤・投与量・投与方法)を記録書Ⅱに添付。介護保険:様式は問わないが7日ごとの指示が必要 | 指示書の添付が無い。指示期間を過ぎた点滴を実施・算定している。介護保険で週3日の指示はあるが実施が2日で算定している |
| 有効期間 | すべての土台。指示期間(6か月以内)の外で行った訪問は算定できない | 期間切れの月に基本の訪問も加算も算定している |
出典:医科点数表 別紙様式16(訪問看護指示書・在宅患者訪問点滴注射指示書)[15]、保発0305第19号 第2の1(1)・第5の3[3]、近畿厚生局「よくある質問」No.14・No.88[5]、介護保険最新情報Vol.267 問32[11]。
該当欄が空欄のまま届いた指示書は、そのまま受け取らないことです。褥瘡の深さの○が無い、カテーテルの部位とサイズが無い、交換頻度が無い——こうした空欄は、主治医が「知らない」のではなく「訪問看護側が何を必要としているか伝わっていない」ことがほとんどです。指示書を依頼するとき、報告書に「特別管理加算の根拠として、次回指示書には○○の記載をお願いしたい」と一文添える、または依頼文書に該当欄を明示する。それだけで、次の指示書から根拠がそろいます。書類を訂正する場合は、いつ・誰が・何を訂正したかが分かる方法で行い、上書きで消さないことも運営基準の求める「正確かつ最新の内容」に含まれます[4]。
記録書Ⅱ——「実施した」と「評価した」を毎回、実際の時刻とともに
記録書Ⅱは、加算の証明として最も重い書類です。留意事項通知は毎回の訪問時に「訪問年月日、利用者の体温、脈拍等の心身の状態、利用者の病状、家庭等での看護の状況、実施した指定訪問看護の内容、指定訪問看護の実施に要した時間等の概要」を記入し、事業所として「実際の指定訪問看護の開始時刻及び終了時刻」を記録し保管することを求めています[3]。特別管理加算の利用者では、これに加えてその状態に対する観察結果と実施内容と評価が毎回入っている必要があります。
書き方の型として、私たちは「状態の名前を主語にする」ことをお勧めします。「異常なし」ではなく「膀胱留置カテーテル:挿入部発赤なし、尿混濁なし、尿量約1,200mL/日(家族聞き取り)、固定位置確認、次回交換予定○月○日」。この1行があれば、計画書の観察項目を実施したこと、評価したこと、次の管理につながることが同時に読み取れます。
SECTION 05 状態別・記録の型——褥瘡、カテーテル・カニューレ、点滴、指導管理
ここからは状態別に「指示書にあるべき記載」「記録書Ⅱに毎回残すもの」「落ちやすい点」を整理します。まず、通知が最も具体的に書いている褥瘡から。
図3 褥瘡の特別管理加算は、7項目の評価を週1回以上行い、部位とケアとともに記録書Ⅱに残すことが要件です。通知の7項目はDESIGN-R®2020の評価項目と一致しているため、DESIGN-R®2020の表記で書けば、要件と評価の両方を一度に満たせます。
「真皮を越える」の判定基準は、介護保険の通知に「NPUAP分類Ⅲ度若しくはⅣ度又はDESIGN分類D3、D4若しくはD5」と明記されています[8]。医療保険の指示書様式も同じ分類で○をつける形です[15]。治癒が進んでd2以下になった週があれば、その週の評価で「真皮を越える状態でなくなった」ことが記録に現れます。改善したのに加算が続いているケースは、記録書Ⅱの深さの推移とレセプトを並べれば一目で分かるため、ここは監査で最も見つけやすい指摘点のひとつです。
| 状態 | 指示書にあるべき記載 | 記録書Ⅱに毎回残すもの | 落ちやすい点 |
|---|---|---|---|
| 真皮を越える褥瘡 | 褥瘡の深さ欄の○(D3〜D5/Ⅲ〜Ⅳ度)、処置内容の指示 | 週1回以上の7項目評価、部位、実施したケアと家族指導。毎回の訪問では創部の観察と処置の実施 | d2に改善した後も算定継続。評価が「変化なし」の一言で7項目が無い。写真だけで数値評価が無い |
| 留置カテーテル・気管カニューレ・経管栄養 | 装着・使用医療機器等の該当に○、部位・サイズ・交換頻度 | 挿入部の観察、固定、閉塞・感染徴候、排液や注入の量と性状、交換の実施日、トラブル対応、家族への管理指導 | 「異常なし」のみで観察項目が読めない。一時的に挿入されたドレーンを対象にしている。在宅で一度も使っていないCVポートを対象にしている(計画的な管理が読めない) |
| 点滴注射(週3日以上) | 医療:在宅患者訪問点滴注射指示書(7日以内、薬剤・量・方法)。介護:週3日以上の指示(様式不問、7日ごと) | 指示書を記録書に添付、実施日時・薬剤・量・ルート・実施中の観察・終了時の状態、終了日の主治医連絡 | 介護保険で実施が週2日にとどまるのに算定。指示期間外の実施。月をまたぐ7日間を2か月で二重に算定 |
| 在宅酸素・在宅中心静脈栄養・在宅自己導尿など指導管理を受けている状態 | 病状・治療状態欄や機器欄に当該療法の記載(酸素流量、CV、導尿回数など) | 機器の作動状況・設定の確認、実施状況(導尿回数、注入量)、皮膚や合併症の観察、機器管理の家族指導 | 医療機関がその指導管理料を算定しているかを確認した記録が無い。訪問時に機器に触れておらず管理の実態が記録に無い |
| 人工肛門・人工膀胱 | 機器欄の該当に○ | ストーマ周囲皮膚の観察、装具交換の実施と頻度、排泄物の性状、セルフケア・家族指導 | 装具交換を家族が全て行い、看護の管理内容が記録に無い(観察・指導の記載で管理を示す) |
| 在宅麻薬等注射・気管切開患者の指導管理を受けている状態 | 病状・治療欄に注射薬と投与経路、気管切開の状態 | ポンプの作動・残量・投与量、疼痛評価、刺入部の観察、気管切開部の観察と吸引の実施 | 内服・貼付の麻薬を「麻薬等注射」として扱う。永久気管孔のみで気管切開患者指導管理を受けていない場合の区分確認が無い |
出典:保発0305第19号 第5の3[3]、老企第36号 第2の4(19)[8]、介護保険最新情報Vol.267 問28・問32[11]、Vol.273 問3[12]、別紙様式16[15]。表中の「落ちやすい点」は、これらの通知・Q&Aが求める記載が欠けた場合に生じる不整合を整理したものです。
SECTION 06 いつ算定するか——月の途中、保険の切り替え、2か所の事業所
状態と記録がそろっていても、算定する「月」と「保険」を間違えると、それは返還の対象になります。医療保険と介護保険で運用ルールが違う点を表にまとめます。
| 項目 | 医療保険訪問看護管理療養費の加算 | 介護保険訪問看護費の加算 |
|---|---|---|
| 額 | 月1回。別表第八第1号 5,000円/それ以外 2,500円 | 月1回。(Ⅰ)500単位/(Ⅱ)250単位。ⅠとⅡは一方のみ |
| 体制・届出 | 常時対応できる体制等について地方厚生局へ届出(算定要件) | 届出は算定要件ではないが、選定情報として届け出させる |
| 算定日 | 訪問看護管理療養費を算定する利用者について月1回(管理療養費は月の初日から訪問の都度) | 当該月の第1回目の介護保険の給付対象となる訪問看護を行った日に加算 |
| 他の保険・他制度との関係 | 介護保険で特別管理加算を請求した月には、医療保険では請求しない | 同月に医療保険の訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護で特別管理加算を算定した場合は算定できない |
| 複数事業所 | 別表第八該当者は2か所(週7日計画なら3か所)のステーションが訪問可。特別管理加算の重複については各ステーションで確認・調整する | 1人の利用者に対し1か所の事業所に限り算定。2か所以上なら分配は事業所間の合議 |
| 重篤時 | 訪問の際、症状が重篤であった場合には、速やかに医師による診療を受けられるよう必要な支援を行う(共通) | |
出典:保発0305第19号 第5の1・3[3]、近畿厚生局「よくある質問」No.48・No.84〜86[5]、老企第36号 第2の4(19)①〜③[8]、介護保険最新情報Vol.1225(令和6年3月15日)問36[10]。
介護保険の点滴——「7日間の指示期間」と算定する月
介護保険の「点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態」は、Q&Aで細かく運用が示されています。指示は在宅患者訪問点滴注射指示書である必要はなく、医師の指示が分かれば通常の指示書等でも差し支えありませんが、7日ごとに指示を受ける必要があります[11]。そして加算は「7日間の医師の指示期間に3日以上実施していれば算定可能」で、月をまたいだ場合は3日目の点滴を実施した月に算定し、同じ7日間を両方の月で算定することはできません[12]。
図4 介護保険の点滴注射は「7日間の指示期間」を1つの単位として数えます。算定する月は3日目の実施日が属する月、同じ7日間を2か月で算定することはできません。
月の中で状態や保険が動いたとき
特別管理加算の利用者は状態が動きます。よくある3つの場面を整理します。
図5 状態や保険が月の途中で動くとき、加算の可否より先に必要なのは「動いた日」を記録に残すことです。日付が記録にあれば、算定月の判断も監査での説明も、そこから組み立てられます。
介護保険の特別管理加算は区分支給限度基準額の枠外ですが、訪問看護そのものはケアプラン(居宅サービス計画)に位置づけられて提供されます。特別管理加算の対象状態が生じた・消えたときは、担当の介護支援専門員に連絡し、サービス提供票や計画の記載を合わせておくことが、運営指導で「ケアプランと実績の不一致」を指摘されない近道です。
SECTION 07 2025〜2026年——なぜ今、記録が今まで以上に見られるのか
特別管理加算の要件自体は長く変わっていませんが、それを取り巻く「見られ方」がこの2年で変わりました。3つの期日を押さえておきます。
図6 2025年4月の指導要綱改正で「1件当たり請求額の高いステーション」が指導対象として明示され、2026年6月の改定で記録の作法が明文化されました。特別管理加算は1件当たりの請求額を押し上げる加算のひとつなので、根拠書類の整備は以前より直接的に問われます。
個別指導で不当な請求が確認された場合、事業所は自主点検を求められ、指摘と同様のものが確認されれば自主返還となり、その期間は原則として指導月前1年以上です[14]。特別管理加算が1人あたり月5,000円で、対象者が10人いれば月5万円、1年で60万円。記録の不備で失うのは加算そのものより、「この事業所の記録は信用できるか」という評価です。
SECTION 08 当ステーションの視点——加算の記録は、次に行く人のために書く
「監査に強い記録」と「いい看護の記録」は、同じものだと考えています
特別管理加算の記録を「監査対策」として別に用意しようとすると、たいてい長続きしません。私たちがこの加算をどう捉えているかを、4つ書いておきます。
- 状態の名前を、4か所に同じ言葉で書く指示書・計画書・記録書Ⅱ・報告書。この4枚に「膀胱留置カテーテル 16Fr、4週ごと交換」という同じ言葉があれば、加算の根拠は成立していますし、次にその家に入る看護師が最初に読むべき1行にもなっています。監査で見られる一本線と、引き継ぎで役に立つ一本線は、同じ線です。
- 該当しなくなった日を、書く褥瘡がd2に改善した、カテーテルが抜けた。加算が取れなくなる日を記録に残すのは、事業所の収入という意味では損に見えます。けれど「良くなったから加算をやめた」記録が積み重なっている事業所は、監査官から見ても、利用者から見ても、信頼できる事業所です。やめる記録を書けることが、算定する記録の信用を支えます。
- 主治医との連携は、指示書の該当欄から始まる指示書に何を書いてもらう必要があるかを言葉にして伝えることは、加算のためだけでなく、その利用者に何の管理が必要だと看護側が考えているかを主治医に示すことです。当法人にはふくろう訪問クリニックがあり、指示書の記載について相談するまでの距離が短いことは、この加算に限らず助けになっています。
- 記録は「異常なし」ではなく、観察した項目の名前で書く「異常なし」は結論だけを書いた言葉で、何を見たのかが残りません。「挿入部発赤なし、尿混濁なし、尿量約1,200mL」と書けば、次に行く人はどこを見ればよいか分かり、監査官には計画的な管理が実施されたことが伝わります。新人の記録も、正しく書けているかより先に「次に行く人がこれを読んで動けるか」で見たいと考えています。
SECTION 09 セルフチェック12項目——月末のレセプト前に
特別管理加算を算定している利用者ごとに、月末に確認したい12項目です。
- 【体制】医療保険の特別管理加算を届け出ている(九州厚生局 受理番号「訪看25」)。介護保険側も届出をしている。
- 【状態】別表第八(医療)または第6号(介護)のどの号・どの項目に該当するかを、利用者ごとに言える。
- 【状態】「在宅○○指導管理を受けている」を根拠にする場合、医療機関がその指導管理料を算定していることを確認した日と方法が記録にある。
- 【指示書】有効期間内で、該当欄(褥瘡の深さ、装着・使用医療機器等、病状・治療)に該当状態が具体的に書かれている。
- 【計画書】その状態に対する看護目標・観察項目・処置・頻度が計画として書かれている。PT・OT・STの内容も一体で記載している。
- 【記録書Ⅱ】毎回、実際の開始・終了時刻、その状態の観察結果、実施内容、評価が記載されている。「異常なし」だけの記録がない。
- 【褥瘡】週1回以上の7項目評価(深さ・滲出液・大きさ・炎症感染・肉芽・壊死・ポケット)、部位、実施したケアと家族指導が記録にある。d2以下に改善した週がないか確認した。
- 【点滴】医療:在宅患者訪問点滴注射指示書が記録書に添付され、実施内容と終了日の主治医連絡が記録にある。介護:7日ごとの指示があり、実施が3日以上の7日間が当月に存在する。
- 【算定月】介護保険は当該月の第1回目の介護保険給付の訪問日に算定している。同月に医療保険で特別管理加算を請求していない。
- 【重複】定期巡回・随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護、他の訪問看護事業所で同月に特別管理加算が算定されていないことを確認した。
- 【変化】状態が消えた日(抜去・改善)が記録書と報告書にあり、その翌月以降に算定が続いていない。計画書の見直しと次回指示書の依頼をした。
- 【保存】指示書・計画書・記録書・報告書が、完結の日から2年間保存される仕組みになっている。訂正は履歴が分かる方法で行っている。
SECTION 10 Q&A——現場からよく出る8つの質問
SECTION 11 ご利用・採用のご案内
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ふくろう訪問看護リハビリステーションでは、看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(常勤・非常勤)を募集しています。制度や加算の根拠を「なぜそう書くのか」から学びたい方、在宅で医療依存度の高い方の看護に取り組みたい方をお待ちしています。
募集職種・働き方
- 看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(常勤・非常勤)
- 勤務日数、1日の訪問件数、オンコールの有無は面談で相談できます
- 同一法人のクリニックと連携した、医療依存度の高い在宅ケア
お問い合わせ
- 電話:092-834-8581(平日 9:00〜18:00)
- メール:nurse@fukurou.fukuoka.jp
- 採用ページ:https://nurse-fukurou.jp/recruit/
入職祝い金 20万円
人材紹介会社を通さない直接応募がいちばん早く、メリットも大きいと考えています。日程が早く決まること、条件を決める人と直接相談できること、そして紹介手数料がかからないぶんを入職祝い金として求職者の方に還元していることが理由です。
SECTION 12 参考資料(一次資料)
- 厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定の概要【訪問看護ステーション向け】」(令和8年9月4日版)。難治性皮膚疾患の別表第八追加(p.31)、適正な訪問看護の推進(p.26〜27)、運営基準の見直し(p.28)、指導要綱の改正(p.55)。https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001745825.pdf
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要 9. 質の高い訪問看護の推進」。https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001671033.pdf(説明資料一覧:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_71068.html)
- 「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日 保発0305第19号)。第2の1(1) 別表第八、第4の3〜7 記録・指示書、第5の3 特別管理加算。https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/000433553.pdf
- 「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について」(令和8年3月5日 保発0305第20号)。第30条 記録の整備(2年保存)、第28条 安全管理体制。https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/000433594.pdf
- 近畿厚生局「よくある質問(訪問看護療養費の算定について)※令和8年6月1日〜適用分」。No.14 在宅患者訪問点滴注射指示書、No.17 別表第八、No.48 複数ステーション、No.84〜88 特別管理加算。https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/000486114.pdf
- 九州厚生局「訪問看護ステーションの基準に関する届出について(令和8年度診療報酬改定)」。受理番号「訪看25」特別管理加算(別紙様式2)、届出と算定開始月の取扱い。https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/gyomu/gyomu/hoken_kikan/kango/todokede_r8.html
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(告示・通知一覧。訪問看護療養費に係る告示第74号・第75号、訪問看護計画書等の記載要領 保医発0327第10号 ほか)。https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- 「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成12年3月1日 老企第36号、令和8年3月13日更新)第2の4(19) 特別管理加算。https://hourei.roken.or.jp/detail.php?uid=17
- 「厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等」(平成27年厚生労働省告示第94号、令和6年3月15日更新)第6号・第7号。https://hourei.roken.or.jp/detail.php?uid=14
- 厚生労働省老健局「介護保険最新情報 Vol.1225」(令和6年3月15日)令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)問36 特別管理加算と定期巡回・随時対応型訪問介護看護等。https://www.mhlw.go.jp/content/001227740.pdf
- 厚生労働省老健局「介護保険最新情報 Vol.267」(平成24年3月16日)平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)問28 ドレーンチューブ、問32 点滴注射の指示。介護保険最新情報vol.267(WAM NET)
- 厚生労働省老健局「介護保険最新情報 Vol.273」(平成24年3月30日)平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)問3 点滴注射が月をまたぐ場合の算定月。全国老人保健施設協会「法令・Q&A検索システム」収載:https://hourei.roken.or.jp/common/upload/files/2894/15/248.html
- 「『指定訪問看護事業者等の指導及び監査について』の一部改正について」(令和7年4月3日 保発0403第1号)指導要綱。https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc9145&dataType=1&pageNo=1
- 「『指定訪問看護事業者等の指導及び監査の取扱いについて』の一部改正について」(令和7年4月3日 保医発0403第1号)。自主返還の期間(原則指導月前1年以上)、実施通知(概ね1週間〜10日前)。https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc9146&dataType=1&pageNo=1
- 医科点数表 別紙様式16「訪問看護指示書・在宅患者訪問点滴注射指示書」(褥瘡の深さ、装着・使用医療機器等の欄)。近畿厚生局掲載様式:https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/iryo_shido/documents/16.doc(令和8年度改定で押印欄が削除された最新様式は上記[7]の記載要領を参照)
- 日本褥瘡学会「DESIGN-R®2020 褥瘡経過評価用」。https://www.jspu.org/medical/design-r/docs/design-r2020.pdf
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」(介護職員等処遇改善加算の訪問看護への拡大等)。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00073.html
本記事は2026年9月6日時点で公表されている告示・通知・Q&Aに基づいて作成しています。個別の算定可否は、所在地の地方厚生(支)局・都道府県(介護保険は保険者・都道府県)の判断が優先します。記事中の記録例は説明のための架空のものです。内容に誤りがあればステーションまでお知らせください。速やかに訂正します。

