多職種連携:ゼロから始める訪問看護

ゼロから始める訪問看護第9回/全10回
多職種連携

誰が何を持っていて、何を待っているか

連携という言葉は、会議の回数や仲の良さのことだと思われがちです。実際にはもっと単純で、 相手が何を持っていて、何を待っているかがわかっていれば、それが連携です。 この回では、在宅のチームにいる職種を一人ずつ見て、それぞれが何を握っていて、 こちらの何を待っているのかを整理します。読み終えたときに、 困ったときの電話を誰にかければよいかが、迷わず出てくる状態を目指します。

この連載の現在地 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 第9回 多職種連携

この回の結論

  1. 連携とは、相手が何を持っていて、何を待っているかを知っていることです。会議の回数でも、顔なじみの多さでもありません。
  2. 連携の効果を調べた研究は、まだ弱いのが実情です。9つの無作為化試験・6,540人をまとめたコクラン・レビューは、効果について明確な結論を出せるだけの根拠はないとしています。だからこそ、形式ではなく中身で組む必要があります。
  3. 令和8年度の診療報酬改定では、ICTで他職種の記録を活用した場合の評価と、看護師が同席してオンライン診療を補助する訪問看護遠隔診療補助料が新設されました。連携の道具立ては、制度の側でも変わりつつあります。

SECTION 01 連携は、会議のことではない

新人のころ、多職種連携という言葉を聞いて思い浮かべるのは、たいていサービス担当者会議の風景です。 大勢が集まって、順番に発言する、あの場です。 けれども、実際に利用者を助けているのは、会議そのものではありません。

在宅で本当に効くのは、「これはあの人に言えばいい」と即座にわかることです。 段差が危ないと思ったときに、ケアマネジャーではなく福祉用具専門相談員にまず相談したほうが早い場面があります。 薬が余っているとき、主治医に言う前に薬局に電話したほうが解決が速いことがあります。 この振り分けができる人が、連携ができる人です。

  • 連携は、情報を配ることではない全員に同じ内容を送るのは、丁寧なようで誰の役にも立たないことがあります。第7回の表1のとおり、相手が判断したいことは職種ごとに違います。
  • 連携は、仲の良さではない気心が知れているほうがやりやすいのは事実ですが、担当者は替わります。人ではなく役割で覚えておくと、担当が替わっても崩れません。
  • 連携は、待っている人に届けること誰かが決めかねている場面には、必ず足りない情報があります。それを持っているのが訪問看護であることは、しばしばあります。

SECTION 02 チームの地図——誰が何を持っているか

まず、在宅のチームにいる人たちが、それぞれ何を握っているのかを見ておきます。 持っているものとは、その職種にしか動かせない権限や資源のことです。

図1 在宅のチーム。それぞれが動かせるものは違う 自分にできないことを、できる人に渡すのが連携。抱えることではない。 1 主治医 指示書、処方、検査、往診、入院の判断。訪問看護を動かす前提を持っている。 2 ケアマネジャー(介護支援専門員) ケアプラン。サービスの量と組み合わせ、区分変更の申請、担当者会議の招集。 3 薬剤師 一包化、剤形の変更、配達、飲み合わせの確認。残薬の整理も動かせる。 4 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 動作の分析と練習、住まいの中の動線、道具の使い方、嚥下の評価。 5 訪問介護員(ヘルパー) 毎日の生活そのもの。食事、清潔、買い物。訪問回数はチームで最も多いことがある。 6 福祉用具専門相談員 手すり、ベッド、車いす、スロープ。住宅改修は着工前の申請が原則(第5回)。 7 地域包括支援センター・市町村 虐待、経済的困窮、制度からこぼれている人。ケアマネジャーの手前にある窓口。 ※ このほか、退院支援に関わる病院の看護師や医療ソーシャルワーカー、通所や短期入所の職員も同じチームにいる。

図1 訪問看護が持っているのは、家の中で起きていることの情報と、医療の目です。持っていないものは、持っている人に渡します。

そして、それぞれがこちらの何を待っているかがあります。 ここが噛み合っていないと、報告しているのに動かない、という状態が起きます。

相手その人が待っている情報渡すと何が動くか
主治医家での実際の状態。平常値からのズレ。生活の変化処方の見直し、往診、検査、指示書の変更
ケアマネジャー生活が今までどおりに回っているか。介護者の限界サービスの量と組み合わせの変更、区分変更の申請
薬剤師残薬の実数、飲み忘れの偏り、飲みにくさの理由一包化、剤形の変更、服薬支援、主治医への疑義照会
リハビリ職どの動作でどう危ないか。日によって違うのか練習内容の見直し、動線の変更、用具の提案
ヘルパー次に入るときに何を見ればよいか。禁止事項日々の観察の質。異変の早期発見
福祉用具専門相談員その人が実際にどう動いているか。段差の高さと幅用具の選定と設置、住宅改修の提案
地域包括支援センター見たこと・聞いたことの時系列。確証は不要虐待対応、権利擁護、制度につなぐ動き

表1 「待っている情報」が渡っていないと、相手は動けません。動かないのは相手の怠慢ではなく、材料が届いていないだけのことがあります。

SECTION 03 ケアマネジャーは、いちばん多くを待っている

在宅で最初に覚えるべき相手は、ケアマネジャーです。 その人がケアプランを作り、サービスの組み合わせを決め、担当者会議を招集します。 訪問看護がその家に入っているのも、多くの場合はケアプランに位置づけられているからです。

そのケアマネジャーが、いちばん困るのはどんなときか。 多くは「本人と家族の言うことだけでは、実態がつかめないとき」です。 月に1回の訪問では、生活の細かい変化までは追いきれません。 週に何度も家に入っている訪問看護は、そこを埋められる位置にいます。

  • 医学用語ではなく、生活の言葉で渡す「SpO2が下がっています」ではなく「入浴が今までどおりにはできなくなりそうです」。判断の材料になるのは後者です(第7回)。
  • 介護者の限界は、早めに伝える家族が「大丈夫です」と言っていても、睡眠時間、体重、口にした言葉を並べれば状況が伝わります。限界を超えてからでは、選べる手が減ります。
  • 区分変更が要りそうなら、その旨を言う申請するのはケアマネジャーですが、必要性に最初に気づくのは訪問看護であることが多い。遠慮して言わないと、必要なサービスが増えません。
  • 入院・退院の情報は、その日のうちに知らないままケアプランが動き続けることが実際に起きます。搬送先の病院名まで伝えます(第6回)。
実務のコツ

ケアマネジャーへの連絡は、電話より連絡ノートやメールのほうが向いていることがあります。 サービスの調整には時間がかかり、その場で決まらないからです。 ただし、介護者が限界に近いときと、入院したときだけは電話にしてください。 この2つは、届く速さがそのまま結果を変えます。

SECTION 04 主治医とのやりとりで、つまずくところ

主治医との連携は、第7回で扱った報告の型がそのまま効く場面です。 ここでは、新人がとくにつまずく2点だけ足しておきます。

  • 主治医が複数いることがある内科と整形外科、精神科と身体科。訪問看護指示書を出しているのが誰かを、必ず確認してください。指示書を出していない医師に指示を求めても、動きません。
  • 介護保険の主治医意見書を書くのも医師要介護認定の場面で、生活の実態が反映されていないと感じたら、日ごろの状況を主治医に伝えておくことに意味があります。認定の結果は、使えるサービスの量を決めます。
他職種はここを見ている

医師にとって、訪問看護からの報告でいちばん価値があるのは、 診察室では絶対に見えない情報です。 外来には、その人がいちばん整った状態で来ます(第5回)。 「処方どおり飲めていません。朝の分だけ8日分残っています」 「暖房を使っていません。室温は14℃でした」。 検査値よりも、こうした事実のほうが処方や往診の判断を変えることがあります。

SECTION 05 薬剤師・リハビリ職・ヘルパーの入口

残りの職種については、どういうときに、まずその人に連絡すればよいかという入口だけ押さえておきます。 入口を覚えておくと、遠回りが減ります。

  • 薬が残っている、飲めていない → 先に薬剤師残薬の実数と、飲み忘れの曜日や時間帯の偏りを伝えます。一包化や剤形の変更で解決することが多く、その提案は薬剤師から主治医へ行きます。「飲めていません」だけでは処方は変わりません。
  • 動作が危ない、家の中で転びそう → リハビリ職と福祉用具第5回で見たとおり、効くのは一般的な助言ではなく、その家とその人の動きに合わせた調整です。実際にどう動いているかを伝えると、提案が具体的になります。
  • 毎日の様子を知りたい → ヘルパー訪問回数がチームで最も多いことがあります。「次に入るとき、これを見ておいてください」と1つか2つに絞って頼むと、質の高い観察が返ってきます。
  • 虐待や経済的な問題の気配 → 管理者、そして地域包括支援センターや市町村確証は要りません(第5回)。見たこと・聞いたことを時系列で伝えます。自分で家族に問いただしに行かないでください。

SECTION 06 会議で、何を言うか

サービス担当者会議や退院時の共同指導は、新人にとって緊張する場です。 大勢の前で何を話せばよいのかわからず、当たり障りのない報告で終わってしまう。 けれども、この場で訪問看護に期待されていることは、実ははっきりしています。

図2 会議で言うのは、この3つだけでよい 経過の読み上げは求められていない。記録を配れば済むことは、会議で話さない。 1 前回から今日までに変わったこと。1つか2つに絞る 「夜間のトイレで、先月から手すりに頼るようになりました。2回ふらつきがあります」 全部を並べると、いちばん大事なものが埋もれます。 2 今のプランで困っている場面を、具体的に言う 「入浴の日と訪問の日がずれていて、皮膚の状態を見られるのが週1回だけです」 困りごとは、場面で言うと解決策が出ます。感想で言うと出ません。 3 誰に、何をしてほしいかを言う 「入浴介助を木曜に移せませんか。訪問看護も木曜に合わせます」 報告と同じで、これが第7回でいうRにあたります。ここを言わずに終わらない。 ※ 退院時の共同指導では、これに「家で何が必要になるか」が加わる。段差、寝床の位置、介護者の勤務。 ※ 病院側は家の中を知らない。知っているのは、退院前に家を見た人だけ。そこが訪問看護の役目になる。

図2 新人が「経過の読み上げ」で時間を使ってしまうのは、よくあることです。経過は資料に書いてあります。

注意

会議の場で、本人や家族が同席していることを忘れないでください。 家の様子や家族関係の話は、そのまま口にすると傷つけることがあります。 伝えるべきことでも、本人の前で言う内容と、事前に別途伝えておく内容を分けるのが実務です。 判断に迷うときは、会議の前に管理者かケアマネジャーに相談しておきます。

SECTION 07 連携の効果は、どこまで確かめられているか

ここで一度、立ち止まっておきます。 多職種連携は良いことだと、誰もが言います。けれども、それが本当に結果を良くするのかを調べた研究は、 実はそれほど強くありません。良いことだと信じられている分野ほど、根拠を確かめておく価値があります。

職種間の連携を改善する介入の効果をまとめたコクラン・レビュー(Reeves S, et al. 2017)を見ておきます。

図3 多職種連携の効果。まだ「わからない」という段階にある Reeves S, et al. Cochrane Database of Systematic Reviews 2017 より作図。 含まれた無作為化試験 参加者は合計6,540人。連携を促す介入の種類は研究ごとに異なる。 9件 わかったこと 脳卒中患者の生活機能、専門職の実践への準拠、医療資源の使われ方が、わずかに改善する可能性。 わずかに改善か その根拠の確実性 ほとんどの結果で「低い」から「非常に低い」。死亡や合併症を報告した研究はなかった。 低い〜非常に低い 著者らの結論:連携を促す介入の効果について、明確な結論を出せるだけの根拠はまだない。 ※ 効果がないと示されたわけではない。調べ方がそろっておらず、判断できる段階にないということ。 ※ より厳密で、追跡期間の長い研究が必要だと著者らは述べている。

図3 これは連携をやめる理由ではありません。会議を開いたこと自体を成果と数えない、という戒めとして読んでください。

この結果から実務的に引き出せることは、ひとつです。 連携は、やった回数ではなく、何が動いたかで測る。 会議を開いた、情報提供書を出した、それ自体は成果ではありません。 その結果、訪問の曜日が変わった、薬が一包化された、手すりがついた。そこまで来て初めて、利用者に届きます。

SECTION 08 制度が用意した、新しい道具

令和8年度の診療報酬改定では、連携に関わる新しい仕組みがいくつか入りました。 新人がすぐ算定に関わることは少ないかもしれませんが、 自分の仕事がどう位置づけられているかを知っておくことには意味があります。

制度メモ

ひとつは、訪問看護におけるICTを用いた医療情報連携の推進です。 他の保険医療機関等の関係職種がICTを用いて記録した利用者に係る診療情報等を活用したうえで、 指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行った場合の評価が新設されました。 他職種の記録を読んで、それを踏まえて計画を立てることが、評価される形になったということです。

もうひとつが、訪問看護遠隔診療補助料(1日につき2,650円)の新設です。 主治医が情報通信機器を用いた診療を行うにあたって、看護職員が利用者と同席して診療の補助を行う、 いわゆるD to P with Nの形を評価するものです。月に1回に限り算定できます。

図4 訪問看護遠隔診療補助料。看護師が家にいて、医師が画面の向こうにいる 令和8年度診療報酬改定で新設。1日につき2,650円、月1回まで。 1 前提:訪問看護指示書の有効期間内にある利用者 有効な指示書がない場合は算定できない。第2回で見た1枚が、ここでも効いてくる。 2 場面:定期の訪問看護ではなく、緊急に診療が必要と主治医が判断したとき 計画に基づいて定期的に行う訪問看護のときは、この対象にならない。 3 やること:利用者の同意を得て訪問し、同席して診療の補助を行う 画面の向こうの医師にできないこと、つまり触れて確かめる部分を担う。 4 そのあと:日時・内容・対応状況を訪問看護記録書に記録する 必要なら指示の変更を受け、訪問看護計画についても見直しを行う。 ※ 算定要件は本文で扱った範囲より細かい。実際の算定は事業所の判断で行う。ここでは仕事の形として紹介している。

図4 医師が来られないときに、看護師がその場にいるだけで診療が成立する。訪問看護の役割が一段広がった形です。

SECTION 09 うまくいかないとき

最後に、連携がうまくいかない場面の話をしておきます。 実際には、そういうことのほうが多いからです。

  • 言ったのに動かないまず、相手が判断したいことに答える材料が渡っているかを確かめます(表1)。渡っていて動かないなら、その事実を記録に残し、管理者に共有します。個人で繰り返し催促する話ではありません。
  • 方針が食い違っている本人の希望、家族の希望、医師の方針、ケアプランがずれていることがあります。この場合、どこがどうずれているかを言語化して出すのが訪問看護の役目です。調整役を買って出る必要はありません。
  • 相手が忙しくてつかまらない連絡手段を1つに絞らないでください。電話、ファクス、ICT、連絡ノート。相手ごとにつながりやすい手段を、記録書Ⅰに書いておきます。
  • 自分が責められているように感じる職種が違えば見ているものが違います。批判に聞こえる言葉の多くは、立場の違いから出ています。抱えずに管理者へ持っていってください。事業所間の関係は、事業所で扱う話です。
実務のコツ

連携がうまく回っている家には、たいてい共通点があります。 誰が何を担当しているかが、1枚の紙になって家の中にあることです。 冷蔵庫の扉でも、ベッドサイドでもかまいません。 職種名、事業所名、担当者名、電話番号、訪問の曜日。これが貼ってある家は、夜間に呼ばれた人も動けます。 作るのに15分もかかりません。

当ステーションの視点

同じ法人に医師がいることの意味は、相談の敷居が低いことです

当ステーションと同じ法人に、ふくろう訪問クリニックがあります。 これを「連携がスムーズです」と説明することもできますが、実際の価値はもう少し地味なところにあります。 迷ったときに聞ける相手が、物理的に近いという一点です。

新人にとって、いちばん高い壁は医師への電話です。第7回のQ&Aにも書いたとおり、 一度不機嫌な対応をされると、次から電話がかけられなくなります。 そして、かけなくなった人は、一人で判断するようになります。困るのは利用者です。 だから当ステーションは、聞きやすさを環境の問題として扱います。性格や度胸の問題にしません。

ただし、法人の中で完結させるつもりはありません。 当ステーションが関わっている利用者の多くは、法人外の医療機関を主治医としています。 ケアマネジャーも薬局も、地域の事業所です。 連携の相手を選べる立場にはないというのが、在宅の現実です。 だからこそ、相手が誰であっても同じ形で情報を渡せることが、技術として要ります。 その形を身につけるまで、こちらが一緒に電話をかけます。

採用のご案内

ふくろう訪問看護リハビリステーションは、
訪問看護が未経験の方を歓迎しています。

この連載は、訪問看護の経験がないまま入職した看護師が、ひとりで訪問して、 観察して、判断して、報告できるようになるまでの道のりをそのまま書いたものです。 言いかえれば、当ステーションが新しく入った人と一緒にたどる順番そのものです。 経験がないことは、ここでは前提であって、条件ではありません。

1. いきなり一人にしません 見学から一部実施、メイン担当、見守り、単独訪問へ。段階を戻すことを失敗と呼びません。
2. 医師との距離が近い環境 同じ法人にふくろう訪問クリニックがあり、迷ったときに相談できる相手がすぐ近くにいます。
3. 「わかりません」と言える その日のうちに報告できることを、技術より先に身につけてほしいと考えています。
いちばん早いのは、当ステーションへ直接ご連絡いただくことです
  1. 日程が早く決まります。間に人が入らないぶん、お問い合わせから見学、面談までを最短の日程で組めます。
  2. 条件を、決める人と直接相談できます。勤務日数、1日の訪問件数、オンコールの有無といった働き方の話を、伝言でなくその場でやりとりできます。
  3. 入職祝い金20万円を進呈します。直接応募限定紹介手数料がかからないぶんを、求職者の方に還元します。
まずは見学だけでも歓迎します/お電話・メールどちらでも

ブランクのある方、病棟以外の経験しかない方、まず話だけ聞いてみたいという方も、お気軽にご連絡ください。

1年目チェックリスト(第9回ぶん)

  • 担当している利用者について、ケアマネジャーの名前と事業所を言える
  • 訪問看護指示書を出している医師が誰かを、必ず確認している
  • 薬が残っているとき、主治医より先に薬局へ相談する判断ができる
  • ケアマネジャーへの報告で、医学用語を生活の言葉に言い換えている
  • 介護者が限界に近いとき、電話で伝えている
  • 入院・退院の情報を、その日のうちにケアマネジャーへ伝えている
  • 会議で「変わったこと・困っている場面・してほしいこと」の3つを言える
  • 会議で本人・家族が同席していることを前提に、話す内容を選べている
  • 虐待や経済的な問題の気配を、確証がなくても管理者に伝えられる
  • 担当者の一覧が家の中の見える場所にあるか、確認している
  • 連携がうまくいかないとき、個人で抱えずに管理者へ渡せている

Q&A よくある質問

Qサービス担当者会議で、何を話せばいいのかわかりません。経過を読み上げるだけになってしまいます。
A経過は資料に書いてあるので、読み上げは求められていません。話すのは3つだけです。前回から変わったこと(1つか2つ)、今のプランで困っている具体的な場面、そして誰に何をしてほしいか(図2)。3つ目がいちばん大事で、いちばん省かれます。「入浴介助を木曜に移せませんか」まで言って、初めて会議が動きます。
Qケアマネジャーに何度も伝えているのに、サービスが変わりません。
Aまず、渡している情報がその人の判断材料になっているかを確かめてください(表1)。ケアマネジャーが決めたいのは、サービスの量と組み合わせを変えるかどうかです。「状態が悪いです」では動けません。「入浴の日と訪問の日がずれていて、皮膚を見られるのが週1回です」なら動けます。そのうえで動かないなら、伝えた日時と内容を記録に残し、管理者に共有してください。事業所間の話として扱う場面です。
Qヘルパーさんから医療的な質問をされたとき、どこまで答えていいですか。
A観察してほしいことと、してはいけないことを伝えるのは、訪問看護の役目です。一方で、医行為にあたる判断を求められた場合は、その場で答えず持ち帰ってください。実務的には、「次に入るとき、ここを見ておいてください」と1つか2つに絞って頼み、変化があれば連絡をもらう形にすると、双方の役割がはっきりします。判断に迷う質問は、管理者に確認したうえで、後日あらためて伝えます。
Q連携がうまくいっているかどうかは、どう判断すればいいですか。
A会議の回数や連絡の頻度では測らないでください(SECTION 07)。測るのは、何が動いたかです。訪問の曜日が変わった、薬が一包化された、手すりがついた、区分変更が出た。この1か月で、自分が渡した情報によって実際に変わったことを、3つ挙げられるか。挙げられないなら、情報は届いていても、判断材料になっていない可能性があります。

REFERENCE 参考資料

  1. 厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定について【訪問看護ステーション向け】」令和8年3月10日版(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001671099.pdf)※訪問看護におけるICTを用いた医療情報連携の推進、訪問看護遠隔診療補助料の新設
  2. 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
  3. 厚生労働省保険局医療課「訪問看護計画書等の記載要領等について」令和8年3月27日 保医発0327第10号(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001681763.pdf)※訪問看護記録書Ⅰの「指定居宅介護支援事業所等の連絡先」「関係機関との連絡事項」
  4. 一般社団法人全国訪問看護事業協会「令和8年度診療報酬改定まとめ」(https://www.zenhokan.or.jp/new/new2753/
  5. 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年3月31日厚生省令第38号)
  6. 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年3月31日厚生省令第37号)第4章 訪問看護
  7. 指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(平成12年3月31日厚生省令第80号)
  8. Reeves S, Pelone F, Harrison R, Goldman J, Zwarenstein M. Interprofessional collaboration to improve professional practice and healthcare outcomes. Cochrane Database Syst Rev. 2017;6:CD000072. doi:10.1002/14651858.CD000072.pub3
本記事は、公開されている法令・通知・ガイドライン等をもとに、訪問看護の実務に必要な範囲を整理したものです。 制度の取扱いは改定や個別の事情によって変わることがあります。実際の判断にあたっては、 主治医、所属事業所の管理者、審査支払機関、地方厚生局等の窓口にご確認ください。 個々の健康上の問題については、かかりつけ医にご相談ください。
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この記事を書いた人

福岡生まれ、筑紫丘高校卒業、九州大学医学部卒業後、東北の地域中核病院で初期研修医・救急医として勤務し、その後東京の国立がん研究センター中央病院、東京大学病院に勤務。地元の福岡に帰ってきて2023年1月に:ふくろう訪問クリニック(旧:つくし訪問クリニック早良)を開院。2025年5月に医療法人「ふくろうの樹」設立。2025年11月「ふくろう訪問看護リハビリステーション」を開院。

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