年齢で医療費の負担は変わるの?

年齢で医療費の負担は変わるの? 保険証を見て「どの保険で・何割いただくか」を判断するための地図
訪問先で最初に確認するのは、利用者さんの保険証(マイナ保険証・資格確認書)と介護保険の2枚(被保険者証・負担割合証)、そして公費の受給者証です。ここを読み違えると、請求はもちろん、「今月いくらかかりますか」というご家族の質問にも答えられません。
そして、この判断のいちばん最初の分岐が「年齢」です。年齢は、①窓口で何割いただくか、②そもそも医療保険と介護保険のどちらで訪問するか、③どの公費が使えるか——この3つすべてを動かします。
このコラムでは、2026年7月時点の行政情報にもとづいて、年齢を起点に負担が決まっていく流れを整理しました。2026年8月1日からは高額療養費制度と高額介護サービス費の基準が変わりますので、その変更点もあわせてまとめています。
最初に全体像です。「年齢で医療費負担は変わるのか」への答えは「変わります。しかも3か所で変わります」。
- 窓口負担の割合が変わる — 未就学児2割 → 就学後〜69歳3割 → 70〜74歳2割 → 75歳以上1割(いずれも所得により例外あり)
- 使う保険そのものが変わる — 40歳未満は医療保険のみ。40歳以上は介護保険が絡み、65歳以上は原則として介護保険が優先
- 使える公費が変わる — 子ども医療費助成、小児慢性特定疾病(20歳未満)、後期高齢者医療など、年齢で入口が決まる制度がある
図1:年齢帯ごとの窓口負担割合。所得区分による上振れと、自治体助成による下振れが両側から効きます。
年齢の話に入る前に、確認する書類を整理しておきます。健康保険証は2024年12月2日で新規発行が終了しているため、現在はマイナ保険証、資格確認書、資格情報のお知らせのいずれかで資格を確認します。訪問看護ステーションでも、モバイル端末を使った「居宅同意取得型」のオンライン資格確認が利用できます。
| 見るもの | そこからわかること | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| ① マイナ保険証/ 資格確認書 | 加入している医療保険(協会けんぽ・組合健保・国保・後期高齢者医療など)、記号・番号、資格取得日 | 75歳の誕生日で後期高齢者医療に切り替わる。保険者が変われば請求先も変わるので、誕生月は要確認 |
| ② 医療の負担割合 (高齢受給者証/後期の資格確認書) | 70〜74歳は2割か3割か、75歳以上は1割・2割・3割のいずれか | 判定は毎年8月1日に前年所得で見直される。7〜8月は新旧の取り違えが起きやすい |
| ③ 介護保険 被保険者証 | 要支援1〜2/要介護1〜5、認定の有効期間、区分支給限度基準額 | 認定申請中か認定済みかで保険が変わる。有効期間切れにも注意 |
| ④ 介護保険 負担割合証 | 介護サービスの負担割合(1割・2割・3割) | 有効期間は8月1日〜翌年7月31日。被保険者証とは有効期間が違うので、8月は必ず新しい証を確認 |
| ⑤ 各種公費の 受給者証・医療証 | 特定医療費(指定難病)、小児慢性特定疾病、自立支援医療(精神通院)、子ども医療証、重度障がい者医療証、生活保護の医療券・介護券など | 公費は自己負担上限額管理票とセット。複数事業所の負担を合算するため、記入漏れは即トラブルに |
※ 表は横にスクロールできます
◆ 限度額適用認定証はもう要らない?
マイナ保険証を使い、本人が情報提供に同意していれば、限度額適用認定証がなくても窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめられます。ただしマイナ保険証を持っていない方や、同意が得られない場合は従来どおり認定証が必要です。訪問看護でも高額療養費の現物給付は同じ考え方です。
まず医療保険側の窓口負担です。厚生労働省が示している一部負担割合は次のとおりです。
| 年齢区分 | 窓口負担 | 所得による例外 |
|---|---|---|
| 0歳〜義務教育就学前 | 2割 | 「就学前」は6歳に達する日以後の最初の3月31日まで。多くの自治体の子ども医療費助成が上乗せされ、実質の負担はさらに下がる |
| 義務教育就学後〜69歳 | 3割 | 所得による区分なし。40歳以上は介護保険料の負担が始まるが、医療の窓口負担割合は変わらない |
| 70歳〜74歳 | 2割 | 現役並み所得者は3割 |
| 75歳以上 (後期高齢者医療) | 1割 | 一定以上の所得がある方は2割、現役並み所得者は3割 |
| 65歳〜74歳で 一定の障害認定を受けた方 | 1〜3割 | 広域連合の認定を受けると、75歳前でも後期高齢者医療制度の被保険者になる。訪問看護でよく出会うパターン |
※ 表は横にスクロールできます
75歳以上の「1割・2割・3割」はこう決まる
後期高齢者医療の2割負担は、2022年10月から導入されたものです。世帯単位で判定するため、同居しているご家族の所得も効いてきます。
図2:後期高齢者医療の負担割合判定。Q2・Q3はいずれも世帯単位で見る点がポイントです。
▲ 現場でよくある質問
「同じ世帯なのに、夫は2割で妻は1割になることはありますか?」
後期高齢者医療の窓口負担割合は世帯単位で判定し、世帯の被保険者全員に同じ割合が適用されます。したがって、後期高齢者医療の被保険者どうしで割合が分かれることはありません。一方で介護保険の負担割合証は個人ごとに交付されるため、「医療は2人とも1割、介護は夫が2割・妻が1割」ということは起こります。
訪問看護に特有なのが、ここです。同じ「訪問看護」でも、医療保険で入るか介護保険で入るかで、回数の枠も、単位・点数の建て方も、利用者さんの負担額もまったく変わります。そして、その最初の分岐が年齢です。
図3:年齢 → 認定の有無 → 例外の順に見ていくと、迷いにくくなります。
年齢区分ごとの整理
| 年齢 | 原則 | ポイント |
|---|---|---|
| 40歳未満 | 医療保険のみ | 介護保険の被保険者ではないため、要介護認定という概念そのものがない。小児の医療的ケア児もここに入る |
| 40歳以上 65歳未満 (第2号被保険者) | 原則 医療保険 16特定疾病+認定があれば介護保険 | 末期がん・ALS・パーキンソン病関連疾患・初老期認知症など16特定疾病が原因で要支援・要介護になった場合のみ介護保険。16特定疾病でも認定を受けていなければ医療保険 |
| 65歳以上 (第1号被保険者) | 認定があれば 介護保険が優先 | 要支援・要介護の認定がなければ医療保険。認定申請中の期間の扱いは保険者・ケアマネジャーと事前にすり合わせておく |
※ 表は横にスクロールできます
◆ 別表第七は「年齢も要介護度も飛び越える」
末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症、およびヤール3度以上かつ生活機能障害度Ⅱ度またはⅢ度のパーキンソン病)、多系統萎縮症、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、後天性免疫不全症候群、頸髄損傷、人工呼吸器を使用している状態——この20の疾病等に該当すれば、90歳で要介護5であっても医療保険の訪問看護になります。週4日以上の訪問や1日複数回訪問、2か所のステーションの併用といった枠も開きます。
訪問看護指示書の主たる傷病名を見て、「これは別表第七ではないか」と立ち止まる習慣が、負担額の説明ミスを防ぎます。
介護保険で訪問する場合、負担割合は医療保険とはまったく別の物差しで決まります。頼るのは負担割合証一枚です。
| 負担割合 | 対象 | 単身世帯の年金収入等の目安 |
|---|---|---|
| 3割 | 第1号被保険者で、本人の合計所得金額が220万円以上、かつ世帯の「年金収入+その他の合計所得金額」が基準以上 | 340万円以上 (2人以上世帯は463万円以上) |
| 2割 | 3割に該当せず、本人の合計所得金額が160万円以上、かつ世帯の「年金収入+その他の合計所得金額」が基準以上 | 280万円以上 (2人以上世帯は346万円以上) |
| 1割 | 上記以外。第2号被保険者(40〜64歳)、市町村民税非課税者、生活保護受給者は、所得にかかわらず一律1割 | — |
※ 表は横にスクロールできます
◆ 負担割合証をめぐる3つの実務ポイント
- 有効期間は8月1日〜翌年7月31日。介護保険被保険者証の認定有効期間とは別物です。7月末〜8月上旬の訪問では、必ず新しい証に差し替わっているか確認しましょう。
- 個人ごとに1枚交付されます。ご夫婦で割合が違うことは珍しくないので、取り違えに注意してください。
- 年度の途中で世帯構成が変わったり、所得の修正申告があると期間の途中でも割合が変わることがあります。「8月にしか変わらない」と思い込まないことです。
▲ これから変わるかもしれないこと:介護の「2割負担」の対象拡大
介護保険の2割負担の対象を広げるかどうかは、社会保障審議会介護保険部会で議論が続いており、2026年7月時点でまだ結論は出ていません。「第10期介護保険事業計画期間の開始(2027年度)の前までに結論を得る」という整理になっています。所得基準の引き下げ案や、負担増を一定額までに抑える配慮措置などが検討されている段階です。
利用者さんやご家族から「来年から2割になるって本当?」と聞かれたら、「検討中で、まだ決まっていません」とお伝えするのが正確です。
ここまでで出た「1〜3割」は、まだ最終的な自己負担ではありません。公費負担医療や自治体の医療費助成が乗ると、負担はさらに削られます。順番を間違えないことが大切です。
図4:①→④の順に削られていきます。ご家族への説明も、この順番でお話しすると伝わりやすくなります。
年齢が入口になる主な公費・助成
| 制度 | 年齢の要件 | 負担の扱い(訪問看護に関係する部分) |
|---|---|---|
| 子ども医療費助成 (福岡市の例) | 高校生世代まで (18歳の誕生日前日以後最初の3月31日まで) | 通院は3歳未満が自己負担なし、3歳以上は1医療機関あたり月500円まで。入院と薬局は自己負担なし。保護者の所得制限なし。生活保護受給者は対象外。福岡県外の医療機関等では医療証は使えず、いったん支払って後日払い戻し |
| 小児慢性特定疾病 医療費助成 | 18歳未満 (引き続き治療が必要と認められれば20歳到達前日まで) | 対象疾病の医療費が2割になり、所得に応じた月額上限が設定される。上限額は指定難病より低めに設定されている。20歳で切れるため、指定難病への移行を20歳前に検討する必要がある |
| 特定医療費 (指定難病) | 年齢制限なし | 対象疾病の医療費が2割(もともと1割の方は1割が優先)。所得に応じた月額上限。訪問看護ステーションも指定医療機関の指定を受けている必要がある |
| 自立支援医療 (精神通院医療) | 年齢制限なし | 精神疾患の通院医療が原則1割+所得に応じた月額上限。精神科訪問看護も対象になる。指定自立支援医療機関としての指定が必要 |
| 重度障がい者医療費助成 | 自治体により異なる | 福岡市では3歳以上で対象になる場合、子ども医療費助成より優先して適用 |
| 生活保護 (医療扶助・介護扶助) | 年齢制限なし | 本人負担は原則なし。医療保険の訪問看護は医療券、介護保険の訪問看護は介護券で扱いが分かれる |
※ 表は横にスクロールできます。自治体の助成は市区町村ごとに大きく異なります。訪問看護療養費の取扱いを含め、必ずお住まいの自治体の最新情報をご確認ください。
指定難病の自己負担上限額(月額)
訪問看護で出会う機会が多い制度なので、上限額の表も載せておきます。複数の医療機関・薬局・訪問看護ステーションの負担を合算してこの上限を適用するため、自己負担上限額管理票の記入が生命線になります。
| 階層区分 | 基準 | 一般 | 高額かつ長期 | 人工呼吸器等 装着者 |
|---|---|---|---|---|
| 生活保護 | — | 0円 | 0円 | 0円 |
| 低所得Ⅰ | 市町村民税非課税(世帯) 本人年収 基準額以下 ※ | 2,500円 | 2,500円 | 1,000円 |
| 低所得Ⅱ | 市町村民税非課税(世帯) 本人年収 基準額超 ※ | 5,000円 | 5,000円 | 1,000円 |
| 一般所得Ⅰ | 市町村民税 課税〜7.1万円未満 | 10,000円 | 5,000円 | 1,000円 |
| 一般所得Ⅱ | 市町村民税 7.1万円以上25.1万円未満 | 20,000円 | 10,000円 | 1,000円 |
| 上位所得 | 市町村民税 25.1万円以上 | 30,000円 | 20,000円 | 1,000円 |
※ 低所得Ⅰ・Ⅱを分ける本人年収の基準額は、2026年7月申請分から82万6,500円(それ以前は80万9,000円)に引き上げられました。※ 入院時の食費は自己負担(生活保護は自己負担なし)。「高額かつ長期」は、支給認定後に医療費総額(10割)が5万円を超える月が年間6回以上ある場合に、申請により適用されます。
◆ 軽症でも対象になる「軽症高額該当」を見逃さない
重症度分類を満たさない軽症の方でも、医療費総額(10割)が33,330円を超える月が申請月以前の12か月以内に3回以上あれば、医療費助成の対象になります。訪問看護を継続していると医療費総額はすぐに積み上がります。「重症度が足りないから」と諦めているご家族には、この制度の存在をお伝えできると大きな支えになります。
最後の砦が、月ごとの上限です。医療と介護で別々の制度になっている点が、訪問看護のややこしさの正体でもあります。
図5:医療と介護をまたいで訪問看護を受けている方には、3階部分の高額介護合算療養費が効きます。
高額療養費:2026年8月からの主な変更
2026年5月29日に医療保険制度改正法が成立し、7月24日には関連政令の改正が閣議決定されました。変更は2026年8月と2027年8月の2段階で進みます。柱は3つです。
- 月額上限の引き上げ:2026年8月から所得区分に応じて4〜7%程度、2027年8月には所得区分の細分化とあわせて現行比で最大38%の引き上げになります
- 年間上限の新設:8月から翌年7月までの1年間で自己負担に上限を設け、達した後の負担は不要になります。月額上限に届かない長期療養の方に効く仕組みです
- 多数回該当の据え置き:直近12か月に3回以上該当した場合の4回目以降の上限額は、現行のまま維持されます
| 70歳未満の所得区分 (年収の目安) | 月額上限 (2026年8月〜) | 多数回該当 | 年間上限 (新設) |
|---|---|---|---|
| ア 約1,160万円〜 | 270,300円+1% | 140,100円 | 168万円 |
| イ 約770〜1,160万円 | 179,100円+1% | 93,000円 | 111万円 |
| ウ 約370〜770万円 | 85,800円+1% (現行 80,100円+1%) | 44,400円 | 53万円 |
| エ 〜約370万円 | 61,500円 (現行 57,600円) | 44,400円 | 53万円 ※ |
| オ 住民税非課税 | 36,900円 (現行 35,400円) | 24,600円 | 29万円 |
※「+1%」は、総医療費のうち月額上限の基準額を超えた部分の1%を加算する意味です。※ 標準報酬月額15万円以下であることが確認できた方には年間上限41万円が適用され、2027年8月以降に償還払いされます。
| 70歳以上の区分 | 外来(個人ごと) 月額上限 | 外来+入院(世帯) 月額上限 | 年間上限 (新設) |
|---|---|---|---|
| 現役並みⅢ 約1,160万円〜 | — | 270,300円+1% | 168万円 |
| 現役並みⅡ 約770〜1,160万円 | — | 179,100円+1% | 111万円 |
| 現役並みⅠ 約370〜770万円 | — | 85,800円+1% | 53万円 |
| 一般 | 22,000円 (現行 18,000円) | 61,500円 (現行 57,600円) | 53万円 外来は年21.6万円 |
| 低所得Ⅱ (住民税非課税) | 11,000円 (現行 8,000円) | 25,700円 (現行 24,600円) | 29万円 外来は年9.6万円 |
| 低所得Ⅰ (一定所得以下) | 8,000円 (据え置き) | 15,700円 (現行 15,000円) | 18万円 |
※ 2027年8月からは所得区分がさらに細分化され、外来特例の上限も一般区分で28,000円に引き上げられる予定です。詳細な金額は加入している保険者にご確認ください。
高額介護サービス費:上限額(世帯単位・月額)
| 区分 | 負担上限額(月額) |
|---|---|
| 課税所得690万円以上の第1号被保険者がいる世帯 | 140,100円(世帯) |
| 課税所得380万円以上690万円未満の第1号被保険者がいる世帯 | 93,000円(世帯) |
| 市町村民税課税〜課税所得380万円未満 | 44,400円(世帯) |
| 世帯全員が市町村民税非課税 | 24,600円(世帯) |
| そのうち、前年の公的年金等収入金額+合計所得金額が基準額以下の方 ほか | 24,600円(世帯) 15,000円(個人) |
| 生活保護受給者 等 | 15,000円(個人) |
※ 2026年8月1日から、所得区分の基準額が80万9,000円から82万6,500円に引き上げられます(令和7年の老齢基礎年金の満額が80万9,000円を超えたことを踏まえた見直し)。適用は2026年8月利用分からです。
▲ 2026年8月に予想される問い合わせ
- 「8月から高くなったのはなぜ?」 → 高額療養費の月額上限引き上げが2026年8月1日施行です。ただし、長期療養の方は新設された年間上限で負担が下がる場合もあります。
- 「還付金が減った」 → 高額介護サービス費の所得区分の基準額見直しの影響が考えられます。実際の支給は数か月後なので、気づかれるのは秋以降になります。
- いずれも金額の最終判断は保険者・市区町村です。ステーションで断定せず、窓口をご案内するのが安全です。
- 「16特定疾病」と「別表第七」を混同しない。16特定疾病は40〜64歳が介護保険を使うための入口。別表第七は年齢や要介護度に関係なく医療保険に引き戻す規定です。同じ「末期がん」でも役割がまったく違います。
- 医療保険と介護保険の訪問看護は同時併用できません。特別訪問看護指示書が出た期間は医療保険に切り替わるため、ケアマネジャーへの連絡と、その月の請求の切り分けを必ず行います。
- 75歳の誕生日は月の途中でも切り替わります。誕生日の当日から後期高齢者医療の被保険者になるため、その月は保険者が2つに分かれます。
- 70歳は「誕生日の翌月1日から」です(1日生まれの方は誕生日の月から)。75歳とルールが違うので、混ぜないようにしましょう。
- 負担割合は毎年8月に切り替わります。医療(後期高齢者医療)も介護(負担割合証)も8月1日基準です。7月末〜8月上旬の訪問は、証の差し替え確認が必須です。
- 公費は保険優先です。まず医療保険で給付し、残った自己負担に公費を当てます。順序を逆にすると計算が合いません。
- 自己負担上限額管理票は「その日のうちに」記入を。複数の医療機関・薬局・ステーションの負担を合算するため、記入が遅れると他事業所で超過徴収が起きます。
- 指定医療機関の指定を受けていないと公費は使えません。指定難病も自立支援医療も、訪問看護ステーション自身の指定が必要です。新規利用者を受ける前に、自ステーションの指定状況を確認しておきましょう。
初回訪問・月初訪問で確認する10項目
- 生年月日と訪問月時点の年齢(今月・来月に70歳/75歳の節目が来ないか)
- マイナ保険証・資格確認書で保険者と資格を確認したか
- 医療の窓口負担割合(70歳以上は1割・2割・3割のどれか)
- 介護保険被保険者証——要介護度と認定有効期間
- 介護保険負担割合証——割合と有効期間(8月1日〜翌年7月31日)
- 訪問看護指示書の主たる傷病名が別表第七に該当しないか
- 特別訪問看護指示書/精神科訪問看護指示書の有無と期間
- 公費受給者証(指定難病・小児慢性・自立支援医療・子ども医療証 等)と自ステーションの指定状況
- 自己負担上限額管理票を預かっているか、当月の記入欄が空いているか
- ご家族に概算の月額をお伝えできる状態か(断定はせず「おおよそ」で)
Q. 65歳になったら、必ず介護保険に切り替わるのですか?
A. いいえ。65歳以上で要支援・要介護の認定を受けている場合に介護保険が優先されます。認定を受けていなければ医療保険のままです。また、認定があっても別表第七に該当する、特別訪問看護指示書が出ている、精神科訪問看護指示書がある(認知症を除く)といった場合は医療保険になります。
Q. 40歳のお誕生日を迎えると、訪問看護の負担は変わりますか?
A. 医療保険の窓口負担割合は3割のまま変わりません。変わるのは介護保険料の負担が始まることと、16特定疾病に該当すれば介護保険の要介護認定を申請できるようになることです。訪問看護の保険が自動的に切り替わるわけではありません。
Q. 小児の利用者さんは、実質いくらご負担になりますか?
A. 医療保険の窓口負担は未就学児で2割、就学後で3割ですが、そこに自治体の子ども医療費助成が乗ります。福岡市の場合、高校生世代までが対象で、通院は3歳未満が自己負担なし、3歳以上は1医療機関あたり月500円までです。訪問看護療養費の具体的な取扱いは自治体によって異なるため、区役所の保険年金担当課にご確認ください。小児慢性特定疾病の受給者証をお持ちであれば、そちらが先に適用されます。
Q. 「年齢によらない負担」に見直されるという話を聞きました。
A. 70歳以上の外来特例について、対象年齢のあり方を含めて検討することが政府の方針に盛り込まれています。あわせて、OTC類似薬の保険給付の見直しや、後期高齢者医療における金融所得の反映といった改正も進んでいます。いずれも今後の制度設計が示される段階ですので、確定した内容として利用者さんにお伝えするのは避け、決まり次第あらためてご案内するのが適切です。
◆ このコラムのいちばん大事な一文
年齢は「窓口負担割合」「使う保険」「使える公費」の3つを同時に動かします。だから、訪問前に生年月日を見て、今月・来月に節目が来ないかを確認する——これだけで、請求の事故もご家族への説明ミスも大きく減らせます。
ふくろう訪問看護リハビリステーションから
私たちは福岡市早良区を拠点に、緩和ケア・難病・精神科・認知症の在宅療養を支えています。医療保険と介護保険のどちらで訪問するのか、どの公費が使えるのか、月にどれくらいのご負担になるのか——ご本人やご家族にとって、いちばん不安なところです。
制度の見立てを含めて、遠慮なくご相談ください。ケアマネジャーの皆さま、病院の退院支援部門の皆さまからのお問い合わせもお待ちしています。
※ 本コラムは2026年7月29日時点で公表されている行政情報にもとづいて作成しています。制度は改正されることがあり、また自治体の助成制度は市区町村ごとに内容が異なります。個別の負担額の判断は、加入している医療保険者・お住まいの市区町村の窓口にご確認ください。
出典・参考(すべて2026年7月29日確認)
- 厚生労働省「医療費の一部負担(自己負担)割合について」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/dl/info02d-37.pdf - 政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」(2割負担の判定要件、配慮措置の2025年9月30日終了)
https://www.gov-online.go.jp/article/202209/entry-10482.html - 厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21060.html - 厚生労働省「窓口負担2割の対象となるかどうかの主な判定の流れ」
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000977090.pdf - 厚生労働省「医療保険制度改正法が成立しました」(令和8年5月29日成立/2026年5月29日更新)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_00014.html - 厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて」(所得区分別の月額上限・年間上限の一覧)
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001661792.pdf - 全国健康保険協会「【制度改正】令和8年8月から高額療養費制度が見直されます」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/about/business/public_relations/009/002/index.html - 厚生労働省 社会保障審議会介護保険部会「給付と負担について(参考資料)」(利用者負担割合の判定基準)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001119101.pdf - 厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1516「健康保険法施行令等の一部を改正する政令の公布について(通知)」(令和8年6月25日/高額介護(予防)サービス費の所得区分基準を80.9万円→82.65万円、令和8年8月1日施行)
https://www.mhlw.go.jp/content/001715374.pdf - 福岡市「自己負担が著しく高額になった場合(1)高額介護(予防)サービス費の支給」
https://www.city.fukuoka.lg.jp/fukushi/kaigohoken/health/00/03/3-010502-1.html - 難病情報センター「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」(自己負担上限額、軽症高額該当、高額かつ長期、人工呼吸器装着者)
https://www.nanbyou.or.jp/entry/5460 - 神戸市「難病医療費の助成制度」(自己負担限度額表、2026年7月申請以降の基準額82万6,500円、医療保険・介護保険の対象範囲)
https://www.city.kobe.lg.jp/a00685/kenko/health/promotion/intractable/assistance.html - 厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)の概要」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsu/seishin.html - 小児慢性特定疾病情報センター
https://www.shouman.jp/ - 福岡市「子ども医療費助成制度」(2025年12月2日更新)
https://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/hokennenkin/hp/01.html - 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(関係法令・通知等)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html - 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定説明資料等について」(資料09 質の高い訪問看護の推進 ほか)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_71068.html - 日本訪問看護財団「令和8年度診療報酬改定について【訪問看護に関する説明資料等】」
https://www.jvnf.or.jp/news/r8housyu-kaitei/ - 三菱総合研究所「介護保険の利用者負担の見直し:『2割負担』対象者拡大に向けた論点とは」(2026年3月9日/第10期計画期間開始前までに結論を得る整理)
https://www.mri.co.jp/knowledge/column/20260309.html

