デイサービス中に訪問看護(医療)は行ってはいけない?

「特別訪問看護指示書が出たので毎日訪問します」——そう伝えたら、ケアマネジャーから「その日はデイサービスですよ」と返ってきた。在宅の現場でとてもよく起きる場面です。ここで判断を誤ると、返戻だけでなく、ケアマネジャーとの信頼関係にもひびが入ります。この記事では、根拠となる通知を示しながら「どこまでが可で、どこからが不可か」を整理し、もめずに調整するための具体的な進め方までをまとめます。
SECTION 01先に結論
この記事の結論
- デイサービス(通所介護)を利用している時間帯に、訪問看護を提供・算定することはできません。医療保険でも介護保険でも同じです。
- 理由は報酬の細かい規定ではなく、「訪問看護は利用者の“居宅”で行うもの」という制度の土台にあります。デイサービスの事業所は居宅ではありません。
- 特別訪問看護指示書(特指示)が出ても、この線は動きません。特指示が広げるのは「回数・保険・体制」の枠であって、「場所」の枠ではないからです。
- 一方で、同じ日に訪問すること自体は可能です。デイの提供時間と重ならない時間帯(出発前・帰宅後)に組み直せば、日数はきちんと確保できます。
- 住まいとデイが同じ建物にあっても、扱いは変わりません。そして「デイの時間を削って訪問する」という運用は、デイ事業所の報酬を大きく減らします(SECTION 05・06)。
つまり現場で問われているのは「できる/できない」ではなく、「その日の何時なら訪問できるか」を、ケアマネジャーと一緒に設計できるかどうかです。以下、根拠から順に見ていきます。
SECTION 02根拠は「場所」にある
医療保険:指定訪問看護は「居宅」で行う
厚生労働省の地方厚生局が示している「よくある質問(訪問看護療養費の算定について)」は、いちばん最初の設問でこの点を明示しています。令和8年6月1日から適用されている最新版でも、質問1「指定訪問看護はどこで行う必要がありますか」に対する答えは「指定訪問看護は利用者の居宅において行う必要があります」——これだけです(出典1)。
ここで言う居宅は、自宅のほか、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など「その人が住んでいる場所」を指します。デイサービスは通ってサービスを受ける事業所であり、住まいではありません。
介護保険:法律の定義そのものが「居宅において」
介護保険側は、さらに手前の段階で決着がついています。老企第36号(平成12年3月1日)第二の1(6)は、訪問介護・訪問入浴介護・訪問看護・訪問リハビリテーションについて、介護保険法第8条の定義上、要介護者の居宅において行われるものとされており、要介護者の居宅以外で行われるものは算定できないと述べています(出典2)。
「算定できない」というより、居宅以外で行ったものは、そもそも訪問看護というサービスに当たらない——という構造です。ここが理解できていると、後述する誤解のほとんどが自然にほどけます。
同じ時間帯に2つの訪問サービスは原則不可
あわせて押さえたいのが、老企第36号 第二の1(4)です。利用者は同一時間帯にひとつの訪問サービスを利用することが原則とされ、例外として認められているのは「訪問介護と訪問看護」「訪問介護と訪問リハビリテーション」の組み合わせに限られます(しかも、心身の状況や介護の内容からその必要が認められる場合に限る)。通所サービスと訪問サービスの同一時間帯の併用は、この例外にそもそも入っていません(出典2)。
図1|訪問看護の可否は、まず「場所」で決まる。保険の種類や指示書の種類は、その次の話になる。
SECTION 03現場で起きやすい5つの誤解
誤解 1特指示が出ているから、デイ中でも訪問していい
特別訪問看護指示書が広げるのは、①介護保険から医療保険に切り替わること ②週4日以上の訪問ができること ③1日複数回の訪問が評価されること ④2か所目のステーションが入れること ⑤長時間訪問看護加算・複数名訪問看護加算の対象になること——といった回数と体制の枠です。「どこで行うか」は一切広げません。
誤解 2医療保険での訪問なら、介護保険のルールは関係ない
医療保険にも同じ縛りがあります。地方厚生局の質疑応答の第1問が「居宅において行う必要があります」である以上、医療保険に切り替わっても場所の要件は残ります(出典1)。
誤解 3デイの日は、訪問看護をまったく入れられない
これは逆方向の誤解です。制限されているのは「時間帯の重複」であって「同じ日」ではありません。デイの提供時間・送迎時間と重ならない朝や夕方であれば、同一日に訪問して差し支えありません。
誤解 4ショートステイに入れるなら、デイにも入れるはず
ショートステイ(短期入所生活介護)は「泊まる=そこで生活している」ため、末期の悪性腫瘍の方に限って医療保険での訪問看護が認められる例外が用意されています。算定告示は、施設に入院・入所している場合などは算定しないとしたうえで「別に厚生労働大臣が定める場合はこの限りでない」と例外を置き、その中身として介護老人福祉施設の入所者等であって末期の悪性腫瘍であるものなどを挙げています(出典3・4)。
これに対し、通所介護には例外規定そのものがありません。泊まりではなく通いだからです。
誤解 5処置だけならデイの事業所に立ち寄ってもいい
処置の内容や所要時間の問題ではなく、場所の問題です。訪問看護として実施も算定もできません。デイ利用中の医療的ケアは、原則としてその事業所の看護職員が担う設計になっています(SECTION 06参照)。
SECTION 04デイの日は、こう組む
デイサービス利用日でも訪問日数を確保する方法は、実質的に次の3つです。
図2|訪問できるのは「送迎車が来る前」と「帰宅して落ち着いた後」。時刻はデイ事業所と直接すり合わせる。
| 方法 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| ① 時間帯をずらす | デイ出発前(朝)または帰宅後(夕方〜夜)に訪問する | 朝は時間が押しやすい。訪問時間が短くなりすぎないよう計画段階で確認する |
| ② デイのない日に寄せる | 週の訪問日をデイ非利用日に配分し直す | 「週」は日曜〜土曜で数える。特指示の開始週・終了週は日数の数え方に注意 |
| ③ デイの回数を一時的に見直す | 急性増悪期・終末期は、主治医の判断でデイを一時休止/減回する | ケアプラン変更が必要。ご本人・ご家族の生活と介護者の負担も含めて相談する |
実務のコツ|短時間になりそうなときこそ立ち止まる
デイ出発前の訪問は、どうしても短くなりがちです。指定訪問看護の実施時間は1回30分から1時間30分程度が標準とされ、やむを得ない事情がある場合を除いて、標準を下回る訪問が同一日に複数回・頻繁に行われている場合は指定訪問看護を実施したとは認められないとされています(出典1)。「デイの時間に合わせて15分だけ寄る」という運用は、根拠上も安全上も勧められません。訪問時刻そのものを見直してください。
SECTION 05デイと住まいが同じ建物にあるとき
近年は、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームの1階にデイサービスが入っている、あるいは同一敷地内に併設されている——という形が珍しくありません。居室からデイのフロアまで、エレベーターで一つ、廊下を数メートル。ここで「同じ建物なのだから、訪問看護も入れるのでは」という発想が出てきます。
判断基準は距離ではなく「その時間、どのサービスを受けているか」
制度が見ているのは物理的な距離ではありません。その人がその時間帯に「居宅で生活している」のか、「通所介護のサービス提供を受けている」のかです。したがって、同じ建物の中でも次のように分かれます。
- 居室にいて、通所介護の提供時間外 ── 居宅なので訪問看護ができる
- デイのフロアにいて、通所介護の提供時間内 ── 居宅ではないので訪問看護はできない
移動時間がゼロであることは、判断を変える材料になりません。むしろ併設型では、朝と夕方の訪問がもっとも組みやすいという利点のほうを活かすべきです。
図3|併設型で問題になるのは「場所」よりも「時間の切り分け」。中抜けは請求の面でも安全の面でも勧められない。
建物の種類ごとの考え方
| 建物の類型 | 居室にいるとき | 併設デイの利用時間中 |
|---|---|---|
| サ高住・住宅型有料 + 併設デイ |
○ 居宅として訪問できる。ただし同一建物居住者に該当し、訪問看護基本療養費(Ⅱ)の対象になる場合がある | × |
| 特定施設(介護付き有料) + 併設デイ |
△ 特定施設入居者生活介護を受けている間は原則不可。別表第七・第八の該当者などの例外あり | × |
| グループホーム + 共用型デイ |
△ 認知症対応型共同生活介護を受けている間は原則不可。例外あり | × |
| 特別養護老人ホーム + 併設デイ |
△ 末期の悪性腫瘍の方に限り医療保険で訪問できる | × |
| いわゆる「お泊まりデイ」 (通所介護事業所の宿泊サービス) |
保険外サービスであり、居宅として扱えるかは保険者の判断が分かれます。訪問前に必ず保険者へ確認してください | |
実務のコツ|併設型は「訪問看護側の単価」も変わる
同じ建物に複数の利用者がいる場合、医療保険では訪問看護基本療養費(Ⅱ)(同一建物居住者)の対象となり、同一日に訪問する人数に応じて単価の区分が変わります。さらに令和8年度改定では、高齢者住まい等に併設・隣接する訪問看護ステーションが、別表第七・第八の該当者や特別訪問看護指示書に係る利用者に24時間体制で頻回の訪問を行う場合の包括型訪問看護療養費が新設されました。1日の訪問時間の合計で評価される仕組みで、回数を積み上げれば収入が増えるという構造ではありません。併設型では「訪問を増やす=増収」という単純な図式が成り立たないことを、あらかじめ頭に入れて計画を組んでください。
SECTION 06「単位が消える」という大人の事情
ここからは、通知には書かれていないけれど、現場の合意形成をいちばん左右する話です。デイの時間を削って訪問看護を入れると、デイ事業所の収入が大きく減ります。これを知らずに調整に入ると、正論を言っているのに話がまとまらない、という事態になります。
短縮したら、短縮後の区分で請求しなければならない
通所介護費は「実際に要した時間」ではなく「通所介護計画に位置づけられた標準的な時間」の区分で算定します。ただし厚生労働省のQ&Aは、当初の通所介護計画に位置づけられた時間よりも大きく短縮した場合は、当初の計画を変更・再作成すべきであり、変更後の所要時間に応じた所定単位数を算定しなければならないと明示しています。実際の例示として、7時間以上8時間未満の予定だった利用者が当日の希望で6時間程度になった場合、3時間程度の入浴のみになった場合、それぞれ変更後の区分で算定する、と示されています(出典6)。
つまり「午前だけ参加して、午後は居室で訪問看護」という組み方をすると、デイ側はその日の請求を短い区分に落とさなければなりません。
どれくらい減るのか
図4|週2回・月8回のデイなら、およそ3,400単位(1単位10円換算で約3万4千円)が1か月で消える計算になる。実施できなかった入浴や機能訓練の加算も、あわせて落ちる。
同じ建物の中で起きているのは、収入の「付け替え」に見える構図
ここが難しいところです。廊下を数メートル移動しただけで、デイ事業所の単位は半分近くに落ち、代わりに訪問看護ステーションに訪問看護費が立ちます。制度としてはそれぞれ正しい算定なのですが、デイ事業所の側から見れば「うちの売上を削って、そちらに移した」ように見えます。訪問看護側にその意図がまったくなくても、です。
さらに難しいのが、デイと訪問看護ステーションが同一法人のケースです。法人全体では収支がプラスに振れることがあり得るため、「経済的な動機でサービスを動かした」と見られかねません。ケアマネジャーまで同一法人であれば、居宅介護支援に求められている公正中立性——前6か月間に作成したケアプランにおける各サービスの利用割合や、同一事業者によって提供されたものの割合を利用者に説明する義務——にも関わってきます(出典7)。
押さえておきたい原則
- 単位数を理由に、必要な医療を減らさない。状態が求めるなら訪問は必要です。
- 医療を理由に、デイの単位を黙って削らない。減収は必ず事前に共有します。
- 判断の順序は「必要性 → 時間帯の設計 → 関係者の合意 → 計画変更」。当日の場当たりで時間を削らないことが、結果的にいちばんもめません。
やってはいけない運用と、望ましい運用
| 場面 | 避けたい運用 | 望ましい運用 |
|---|---|---|
| 訪問時刻 | デイの途中で居室に呼び戻して訪問(中抜け) | デイの提供時間の前後に訪問時刻を設定する |
| 時間の削り方 | 当日その場で「午後は帰します」と決める | 必要ならケアプラン段階で短い時間区分に組み替え、デイ側と事前に合意する |
| 請求 | 短縮したのに当初の時間区分のまま請求する | 通所介護計画を変更・再作成し、変更後の区分で算定する |
| 説明 | 「制度上こうなので」とだけ伝える | 減収が生じることを認めたうえで、期間の見通しとセットで相談する |
| 同一法人の場合 | 法人内で完結させ、記録に理由を残さない | 医学的な必要性・検討した代替案・合意の経過を、記録と計画書に残す |
◯ デイ事業所へ伝えるときの言い方
「特別訪問看護指示書が出まして、○月○日から14日間、頻回の訪問が必要になっています。ただ、デイの提供時間中には伺えませんので、お迎え前と帰宅後の時間で組みたいと考えています。
もし日中にどうしても処置が必要になった場合は、その日だけ時間を短くしていただくことになり、時間区分が下がってご負担をおかけします。そうならないよう、まずは朝夕で回せるか一緒に検討させてください。期間は最長でも14日間で、その後は元の予定に戻す見込みです。」
SECTION 07特指示は、どの枠を広げるのか
ケアマネジャーとの認識合わせでいちばん効くのが、この整理です。「広がるもの」と「広がらないもの」を分けて説明すると、話が早く進みます。
図5|特指示は「回数と体制」を広げる書類であって、「場所」を広げる書類ではない。
SECTION 08デイ中に医療的ケアが必要なときは
「デイの日に処置が必要」という課題自体は残ります。訪問看護が入れない以上、次のいずれかで組み立てます。
① 通所介護事業所の看護職員が担う
これが制度上の本筋です。通所介護には看護職員の配置が求められており、その確保の方法として、老企第25号は病院・診療所・訪問看護ステーションとの連携により、看護職員が営業日ごとに利用者の健康状態の確認を行い、提供時間帯を通じて密接かつ適切な連携を図っている場合には、看護職員が確保されているものとするという取扱いを示しています。ここでの「密接かつ適切な連携」とは、事業所へ駆けつけられる体制や、適切な指示ができる連絡体制の確保を指します(出典5)。
つまり、訪問看護ステーションがデイ事業所と連携して看護職員を担う道はあります。ただしこれは通所介護側の人員基準の枠組みであり、訪問看護としての算定ではありません。この2つを混同すると請求事故につながります。
② 情報提供と手順書で「デイでもできる形」にする
吸引・経管栄養・インスリン・褥瘡処置など、デイ側で継続する必要があるケアは、手順を文書化して共有します。喀痰吸引等については、登録喀痰吸引等事業者の介護職員等が実施する業務を支援した場合の看護・介護職員連携強化加算が用意されており、計画書・報告書の作成や緊急時対応の助言、同行訪問による実施状況の確認が算定要件となっています(出典1)。デイ事業所が対象事業者であれば、連携の形として検討する価値があります。
③ 医師の指示書に、時間帯の条件まで書いてもらう
訪問看護指示書の「留意事項及び指示事項」欄に、たとえば「通所介護利用日(月・木)は午前8時までまたは午後5時以降に訪問」のように書いておくと、ケアマネジャー・デイ事業所・ステーションの三者で同じ前提を共有できます。指示書は関係者が必ず目を通す書類なので、口頭の申し送りより確実です。
SECTION 09ケアマネジャーともめないための進め方
トラブルの多くは制度理解の差ではなく、「知らされた順番」で起きます。特指示が出たあと、ステーションが先に訪問計画を立てて事後報告になると、ケアマネジャーは給付管理とケアプラン変更を後追いで処理することになります。次の順序を守るだけで、摩擦はかなり減ります。
図6|順番を守ることが、いちばん確実なトラブル予防になる。
伝え方のテンプレート
「制度上できません」だけで終えると、断られた側には理由が残りません。「できないこと」「代わりにできること」「根拠」の3点セットで伝えます。
◯ 伝わる言い方(電話・記録どちらでも)
「主治医から特別訪問看護指示書が出まして、○月○日から14日間、医療保険での訪問に切り替わります。この間は毎日の訪問が必要と判断されています。
ただ、訪問看護は居宅で行うことが要件のため、デイサービス利用中の時間帯には伺えません。月曜と木曜はデイとのことでしたので、お迎え前の8時ごろか、帰宅後の17時以降で調整させてください。ご本人・ご家族のご都合はいかがでしょうか。
あわせて、この期間は介護保険の訪問看護費が発生しませんので、給付管理のご確認をお願いいたします。」
× 避けたい言い方
「制度上デイ中は入れないので、デイを休んでもらってください」
——判断をケアマネジャーとご家族に丸投げしています。デイはご本人の楽しみであり、ご家族の休息時間でもあります。休止を提案するなら、その医学的な理由と期間の見通しをセットで示してください。
実務のコツ|「特指示だから毎日」ではない
特別訪問看護指示書の14日間は上限であって、義務ではありません。状態に応じて必要な日数を組めばよく、デイの日を無理に埋める必要はありません。むしろ、令和8年度診療報酬改定でも、心身の状況を踏まえずに一律に訪問日数・回数・実施時間を定めるような、漫然かつ画一的な訪問看護は認められないことが改めて明示されています(出典1)。「特指示が出たから毎日入る」という組み方こそ、指摘を受けやすい形です。
SECTION 10リハビリ職の場合も同じ
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問看護も、看護業務の一環としてのリハビリテーションを、看護職員に代わって提供するものという位置づけです。したがって場所の要件はまったく同じで、デイサービス・デイケアの利用時間中に訪問することはできません。
加えてリハ職の場合、次の2点が現場で問題になりやすいので確認しておきます。
- 通所リハビリと訪問リハビリ・訪問看護(リハ職)の併用:同一日でも提供時間が完全に分かれていれば可能ですが、通所サービスの提供時間と重複させることはできません。ケアプラン上の位置づけと、必要性の記録が前提になります。
- 特指示期間中のリハ職の訪問:特別訪問看護指示書が交付されると、リハ職による訪問も医療保険での取扱いになります。介護保険の予定表をそのまま残すと、二重計上や給付管理のずれにつながります。
SECTION 11デイ利用者を担当するときのチェックリスト
- デイサービスの利用曜日を把握しているか
- デイの送迎時刻と帰宅時刻を、デイ事業所に直接確認したか
- 訪問予定時刻が、デイの提供時間・送迎時間と重なっていないか
- 訪問時間が標準(30分〜1時間30分程度)を確保できる時間帯になっているか
- 特別訪問看護指示書が出た日のうちに、ケアマネジャーへ連絡したか
- 特指示期間中は介護保険の訪問看護費が発生しないことを、給付管理担当と共有したか
- 「週」を日曜〜土曜で数えたうえで、開始週・終了週の日数を確認したか
- 訪問看護計画書とケアプランで、訪問曜日・時間帯の記載が一致しているか
- デイ利用中に必要な医療的ケアについて、デイ側の看護体制と手順を確認したか
- デイの一時休止を提案する場合、医学的な理由と期間の見通しを説明できるか
- 住まいとデイが同一建物・同一敷地の場合、居室での訪問とデイの提供時間を明確に切り分けているか
- 「中抜け」(デイの途中で居室に戻って訪問を受け、また戻る)になっていないか
- デイの時間区分が下がる場合、デイ事業所とケアマネジャーに事前に共有したか
SECTION 12よくある質問
デイの帰宅直後、送迎車が玄関に着いたところで訪問看護を始めても大丈夫ですか。
ご自宅に戻り、通所介護のサービスが終了していれば居宅での訪問看護です。ただし、慌ただしい時間帯に短時間だけ実施する形が常態化すると、標準の実施時間を下回る訪問の頻発として問題になり得ます。落ち着いてケアができる時刻を設定してください。
デイの日の朝に訪問し、夕方にもう一度訪問することはできますか。
医療保険で別表第七・第八に該当する方や特別訪問看護指示書が交付されている方であれば、1日2回・3回以上の訪問が難病等複数回訪問加算の対象になります。いずれもデイの提供時間と重ならないことが前提です。
末期がんの方がデイに通っています。デイ中に痛みが強くなったら訪問できますか。
デイの事業所に伺うことはできません。まずデイ事業所から主治医へ連絡していただき、必要に応じて受診・往診を検討します。帰宅後であれば緊急訪問看護加算の対象となる緊急訪問が可能です。あらかじめ、悪化時の連絡経路と判断の分かれ目をデイ事業所・主治医と文書で共有しておくことを勧めます。
ショートステイ中は訪問できると聞きました。デイも同じでは。
別の扱いです。ショートステイ(短期入所生活介護)は、末期の悪性腫瘍の方について医療保険での訪問が認められる例外がありますが、通所介護には例外規定がありません。「泊まっている=そこで生活している」かどうかが分かれ目です。
同じ建物の1階がデイ、2階が居室です。デイの途中で居室に戻ってもらえば訪問できますか。
居室に戻って通所介護のサービス提供が終了していれば、制度上は居宅での訪問看護です。ただし「戻って、訪問を受けて、またデイに戻る」という中抜けの形は、その間の通所介護が提供されていないことになり、デイ側は所要時間を短縮した区分で請求しなければなりません。当初の時間区分のまま請求すれば過大請求です。前後の時間帯で組むことを第一に検討してください。
デイ事業所から「そんなに早く帰されたら困る」と言われました。
もっともな反応です。所要時間区分が下がれば、その日の基本報酬は要介護3・通常規模型で900単位から479単位へと半分近くまで落ち、実施できなかった入浴介助や個別機能訓練の加算も算定できません。まずその減収を認めたうえで、朝夕の時間帯で回せないか、期間はどれくらいかを具体的に示して相談してください。「制度上そうなので」で押し切ると、次から連携してもらえなくなります。
ケアマネジャーから「デイ中に来てほしい」と依頼されました。どう断ればよいですか。
依頼の背景にある課題(服薬確認なのか、処置なのか、状態観察なのか)をまず聞き取ってください。そのうえで、居宅要件のためデイ中は伺えないことを伝え、時間帯変更・デイ側の看護職員との連携・手順書の共有など、代替案を具体的に提示します。断るのではなく、置き換えるという姿勢が伝わると、関係はむしろ深まります。
この記事のまとめ
- デイサービス利用中の訪問看護は、医療保険・介護保険を問わず提供・算定できない。根拠は「居宅で行う」という制度の土台にある。
- 特別訪問看護指示書は回数と体制の枠を広げるが、場所の枠は広げない。
- 同一日の訪問は可能。出発前・帰宅後に時間をずらして組む。
- 特指示が出たら、訪問を始める前にケアマネジャーへ連絡する。保険の切替と給付管理の共有までが1セット。
- 住まいとデイが同じ建物でも扱いは別。判断は距離ではなく「その時間、どのサービスを受けているか」。中抜けは行わない。
- デイの時間を削れば、所要時間区分が下がってデイ事業所は減収になる。単位数で医療を決めず、医療のためにデイの単位を黙って削らない。
- デイ中に必要な医療的ケアは、デイ側の看護体制・手順書・情報提供で組み立てる。
※ 本記事は令和8年6月1日施行の診療報酬(訪問看護療養費)および現行の介護報酬に関する通知等に基づいて作成しています。制度は改定により変わります。個別の算定可否については、必ず最新の告示・通知および管轄の地方厚生局・保険者にご確認ください。
SOURCES出典
- 厚生労働省 近畿厚生局「よくある質問(訪問看護療養費の算定について)※令和8年6月1日~適用分」(質問1、25、30、73、106、107ほか)
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/000486114.pdf - 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成12年3月1日 老企第36号)第二の1(4)(6)
https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/hoken/seido/0604/dl/02.pdf - 厚生労働省「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」(平成20年3月5日 厚生労働省告示第67号)訪問看護基本療養費の注
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=84aa9734&dataType=0&pageNo=1 - 厚生労働省「訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等」(平成18年厚生労働省告示第103号)訪問看護基本療養費の注ただし書に規定する所定額を算定できる場合
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken12/dl/index-051.pdf - 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」(平成11年9月17日 老企第25号)通所介護の看護職員に関する取扱い
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta4369&dataType=1&pageNo=1 - 厚生労働省「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)」(令和3年3月26日/介護保険最新情報Vol.952)問24・問25・問26(サービス提供時間を短縮した場合の所要時間区分の考え方)
https://www.mhlw.go.jp/content/000763822.pdf - 同上 問111・問112(居宅介護支援における訪問介護等の利用割合・同一事業者割合の説明義務)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」説明資料・関係通知
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_71068.html
※ 通所介護費の単位数は令和6年度介護報酬改定後の通常規模型・要介護3の基本報酬(3時間以上4時間未満 479単位/7時間以上8時間未満 900単位)、同一建物減算94単位/日、入浴介助加算(Ⅰ)40単位、個別機能訓練加算(Ⅰ)イ56単位によります。実際の金額は地域区分による1単位あたりの単価で変わります。

