難病の医療費と介護費はどう見る?

この記事の結論を、先に3行で

  1. 受給者証があるかを最初に見る。あれば、医療保険の3割は2割に下がり、月の自己負担は「自己負担上限月額」で止まる。上限は受給者証に書いてある(2,500円〜30,000円、人工呼吸器等装着者は1,000円)。
  2. 訪問看護は「別表第七 → 要介護認定」の順で保険を決める。どちらの保険で動いても、指定を受けたステーションなら特定医療費の対象で、自己負担は管理票の累積に入る。
  3. 介護費の上限は別の財布。区分支給限度基準額(量)・高額介護サービス費(額)・高額医療高額介護合算(年)の3つがあり、特定医療費が効くのは訪問看護・訪問リハ・居宅療養管理指導だけ。ヘルパーやデイには効かない(「上限額に介護費も全部収まる」は誤解)。

難病の利用者を初めて担当するとき、看護そのものより先に困るのが「この人の医療費と介護費は、結局いくらで止まるのか」という質問です。受給者証に書かれた上限額、医療保険と介護保険の使い分け、介護保険側にだけある限度額、そして毎月の「自己負担上限額管理票」。制度が4つ重なっているので、順番を決めずに見ると必ず迷います。

この記事は、訪問看護師が難病患者を担当したときに「どの制度が、どの費用に、どこまで効くか」を判断できることを目標に、2026年9月時点の行政情報(難病情報センター、厚生労働省、協会けんぽ、福岡県・福岡市)を出典付きで整理しました。数字は必ず一次資料へのリンクを付けています。医療保険と介護保険の基本的な使い分けは、既存コラム「訪問看護は医療保険?介護保険?公費は?」を先にお読みいただくと入りやすいです。

目次

SECTION 01 まず全体像——難病患者の「お金」は4つの箱で見る

難病患者の自己負担は、「医療費」「介護費」「その年間合計」「障害福祉」の4つの箱に分かれていて、箱ごとに上限の付き方が違います。難病の医療費助成(特定医療費)は、この4つと並ぶ5つ目の箱ではなく、箱①と箱②の一部の上に重なって、月の上限をつくる公費です。まず図1で位置関係をつかんでください。

図1 難病患者のお金は4つの箱で見る難病患者の「お金」は、上限の付き方が違う4つの箱に分けて見る箱①医療費(医療保険)病院・薬局・訪問看護(医療保険)の自己負担。1〜3割。上限=高額療養費(月)箱②介護費(介護保険)訪問看護(介護保険)・訪問リハ・ヘルパー・デイ等。1〜3割。上限=限度額(量)+高額介護サービス費(額)箱③医療+介護の年間合計8月〜翌7月の①②の自己負担を世帯で合算。上限=高額医療・高額介護合算(年)箱④障害福祉サービス重度訪問介護・居宅介護など(376疾病が対象)。上限=月額 0〜37,200円特定医療費(難病の公費)は、箱①の全部と、箱②のうち訪問看護・訪問リハ・居宅療養管理指導の自己負担の上に重なり、両方をまとめて1つの「自己負担上限月額」で止める。ヘルパーやデイサービスには重ならない。

図1 4つの箱と、それぞれの上限。特定医療費は箱①と箱②の医療系サービスに重なり、1つの月額上限をつくる。箱④は年齢と要介護認定によって介護保険優先の原則がかかる。

この記事では、箱①(SECTION 02〜05・08)、特定医療費の重なり方(SECTION 03・04・06)、箱②と③(SECTION 07)、箱④と福岡の制度(SECTION 10)の順に見ていきます。急いでいる方は、SECTION 04「受給者証の読み方」、SECTION 09「管理票の書き方」、SECTION 11「チェックリスト」だけでも実務は回ります。

SECTION 02 医療費助成の対象になるのは誰か——受給者証の入口

難病法(難病の患者に対する医療等に関する法律)の医療費助成は、「指定難病」に入っていること「病状が一定程度以上」であることの2段構えです。指定難病は令和8年4月現在348疾病。診断がついていても、重症度分類を満たさなければ受給者証は出ません。ただし軽症でも医療費が高い人には「軽症高額該当」という入口があります。

図2 医療費助成の対象になるかの判定医療費助成(特定医療費)の対象になるかを、3つの問いで見るQ1診断名が「指定難病」(348疾病)に入っている?はい→ Q2へいいえ→ 助成の対象外(難病相談支援センターへ)Q2重症度分類で「日常生活または社会生活に支障がある程度」に該当する?はい→ 認定=受給者証が交付されるいいえ→ Q3へQ3軽症高額該当?(申請月以前12か月で医療費総額〈10割〉33,330円超の月が3回以上)はい→ 認定=受給者証が交付されるいいえ→ 対象外。ただし「登録者証」は交付できる認定されたあとに効くルール・助成の開始日は、申請日から遡って「重症度を満たした日」等(原則1か月、最長3か月)・有効期間は原則1年以内。切れた月は助成がゼロに戻るので、更新の時期を追う・人工呼吸器等装着者は上限1,000円/「高額かつ長期」(総額5万円超が年6回以上)で上限が下がる

図2 医療費助成の対象になるかは3つの問いで決まる。出典:難病情報センター「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」。

  1. 重症度分類を満たす人(原則の入口)疾病ごとに決まった重症度分類で「日常生活または社会生活に支障がある程度」と難病指定医が判断した人。臨床調査個人票(診断書)を書けるのは都道府県・指定都市が指定した難病指定医だけで、更新は協力難病指定医でも書ける(難病情報センター)。
  2. 軽症高額該当(軽症でも医療費が高い人)重症度分類を満たさなくても、申請月以前の12か月以内に月の医療費総額(10割)が33,330円を超える月が3回以上あれば対象。3割負担なら自己負担約1万円の月が年3回以上、という水準(難病情報センター)。
  3. 助成の開始日は申請日より前に遡る令和5年10月から、重症度を満たしていると診断した日(軽症高額なら基準を満たした日の翌日)まで遡って助成が始まる。遡りは原則1か月、やむを得ない理由があれば最長3か月(難病情報センター)。「申請してから受給者証が届くまでの訪問」の費用は、あとから償還払いになる。
  4. 有効期間は原則1年以内更新しなければ切れる。切れた月は自己負担が3割に戻り、上限もなくなる。訪問看護はひと月まとめて請求するので、月をまたいで気づくことが多い(難病情報センター)。
制度メモ
  • 登録者証(令和6年4月〜):指定難病と診断されていれば、医療費助成の対象にならない軽症者にも交付される。福祉・就労支援の入口になるほか、障害福祉サービスの申請で診断書の代わりに使える。原則マイナンバーカードが登録者証になる(難病情報センター)。
  • 受給者証の記載:利用する指定医療機関の追加・変更申請は令和5年7月から不要(福井県)。令和8年3月からは、提示された保険証が受給者証記載の保険者と違っても受給者証を使える(保険変更の届出自体は必要。横浜市FAQ)。
  • 福岡市の窓口:住所地の各区保健福祉センター健康課(早良区 092-851-6012)。原則窓口受付、審査は2〜3か月(福岡市)。福岡市以外の福岡県内は管轄の保健所(保健福祉環境事務所)(福岡県)。

SECTION 03 受給者証で何が変わるか——2割・上限月額・管理票

受給者証が交付されると、変わることは3つです。①医療保険の3割負担が2割になる(すでに1割・2割の人は変わらない)、②月の自己負担が「自己負担上限月額」で止まる③複数の医療機関の徴収を「自己負担上限額管理票」で合算する。上限月額は世帯の所得区分で決まり、受給者証に印字されています。

階層区分判定のめやす(医療保険上の世帯)一般高額かつ長期人工呼吸器等装着者
生活保護0円0円0円
低所得Ⅰ市町村民税非課税(世帯)で、本人年収 82.65万円以下※2,500円2,500円1,000円
低所得Ⅱ市町村民税非課税(世帯)で、本人年収 82.65万円超※5,000円5,000円1,000円
一般所得Ⅰ市町村民税 課税以上 7.1万円未満(所得割)10,000円5,000円1,000円
一般所得Ⅱ市町村民税 7.1万円以上 25.1万円未満(所得割)20,000円10,000円1,000円
上位所得市町村民税 25.1万円以上(所得割)30,000円20,000円1,000円
入院時の食費全額自己負担全額自己負担全額自己負担

表1 特定医療費の自己負担上限月額(2026年7月1日更新の難病情報センター表を基に作成)。「高額かつ長期」=指定難病の医療費総額(10割)が5万円を超える月が申請月以前12か月で6回以上ある人(一般所得Ⅰ・Ⅱ・上位所得が対象)。「人工呼吸器等装着者」=継続して常時、生命維持管理装置を装着し、日常生活動作が著しく制限されている人(所得にかかわらず1,000円)。※低所得Ⅰ・Ⅱの年収基準は令和8年7月申請分から82.65万円(6月申請分までは80.9万円)。出典:難病情報センター大阪市

図3 自己負担上限月額のしくみ(一般所得Ⅰの例)月のなかで自己負担が積み上がり、上限に達したら以後は全額が公費(例:一般所得Ⅰ・上限10,000円)病院3,600円薬局3,000円訪問看護3,400円公費へ1,800円自己負担上限月額 10,000円11,800円=本来の2割の合計0円から月内の徴収を積み上げる累積10,000円で到達。以後は同じ月の徴収なし・訪問看護の自己負担は本来5,200円(医療費26,000円の2割)だが、累積が上限に達する3,400円までしか徴収しない・残り1,800円は公費(特定医療費)に請求する。上限到達後、同じ月の訪問はすべて自己負担0円・どの機関の徴収が先かは受診順で決まる。だから「自己負担上限額管理票」で機関をまたいで累積を管理する・上限額は所得区分で違う(表1)。人工呼吸器等装着者は1,000円、「高額かつ長期」なら半額程度に下がる

図3 一般所得Ⅰ(上限10,000円)の人が、同じ月に病院・薬局・訪問看護を使った例。徴収の順番で「誰が上限に当たるか」が変わるため、機関をまたいだ管理票が必要になる。

  1. 上限は「入院・外来・薬局・訪問看護」を全部合算した額外来・入院の区別なく、複数の指定医療機関の自己負担を全部足した額に上限がかかる(福井県)。訪問看護だけの上限ではない。
  2. 徴収は「上限までの残り」を見て行う各機関は受診のつど、上限の範囲内で2割(または1割)を徴収し、患者は管理票に記入してもらう。累積が上限に達したら、その機関が「達した日と機関名」を書き、以後その月は徴収しない(難病情報センター)。
  3. 同じ世帯に受給者が2人以上いれば上限を按分同じ医療保険の世帯内に指定難病や小児慢性特定疾病の受給者が複数いる場合、上限月額は世帯内の受給者数で按分される(福岡県)。夫婦とも難病、親子で小慢と難病、というときに受給者証の上限額が通常表と違うのはこのため。
  4. 「高額かつ長期」は申請しないと下がらない一般所得Ⅰなら10,000円→5,000円、一般所得Ⅱなら20,000円→10,000円、上位所得なら30,000円→20,000円。条件は総額5万円超の月が12か月で6回以上。訪問看護が週2回以上入る神経難病はほぼ該当するので、管理票の総額欄を見て家族に案内する(難病情報センター)。
注意
  • 助成の対象は「受給者証に書かれた指定難病と、それに付随して発生する傷病」の医療だけ。付随するかどうかは症状と主治医の判断で個別に決まる(福井県)。難病と無関係な疾患の処置を同じ訪問で行った場合、その分は通常の自己負担で、管理票にも書かない。
  • 入院時の食事療養費は全額自己負担で、管理票にも記載しない。保険外(差額ベッド・交通費・保険外の処置)も対象外。

SECTION 04 受給者証の読み方——どこを見て、どこに転記するか

受給者証(様式第2号)は見開きで、左ページに支給認定の内容、右ページに指定医療機関の欄と注意事項が印刷されています。ステーションが訪問開始時に見るのは、番号・病名・上限額と階層区分・3つの特例・有効期間の5か所です。図4は個人情報を除いた見本で、番号と氏名は伏せてあります。

図4 特定医療費(指定難病)受給者証の読み方受給者証(様式第2号)の左ページ。ステーションが見るのは番号・病名・上限額・特例・有効期間特定医療費(指定難病)受給者証(例・個人情報は含みません)公費負担者番号5440××××1特定医療費受給者番号×××××××1受診者(氏名・住所・生年月日)本人の情報保険者/記号及び番号福岡市(国民健康保険)/××××2適用区分3病名原発性胆汁性胆管炎4自己負担上限額月額 2,500円 階層区分 B15人工呼吸器等装着者非該当6高額かつ長期非該当6軽症高額該当非該当6同一世帯内の他の受給者7有効期間令和8年4月1日 から 令和9年3月31日 まで8発行機関名福岡市長1レセプトに転記する2つの番号。先頭の54は難病の法別番号、続く40は福岡県の番号2保険者と記号番号。令和8年3月以降は、提示された保険証と違っても受給者証は使える(変更の届出は必要)3医療保険の高額療養費の所得区分。入院の限度額や食事の標準負担額の判定に使う4助成の範囲=この病名と、付随して発生する傷病の医療だけ。別表第七に入るかもここで見る5月の上限と階層区分(A生活保護/B1低所得Ⅰ/B2低所得Ⅱ/C1一般Ⅰ/C2一般Ⅱ/D上位)63つの特例。非該当でも、要件を満たせば変更申請で上限が下がる7「無」なら按分なし。「有」なら上限は世帯内の受給者数で割った額8終了日の翌日から助成ゼロ。更新には指定医の診断書が要るので、終了の2〜3か月前に動右ページ:病院・薬局・訪問看護事業者の欄は「各都道府県又は政令指定都市の指定する難病指定医療機関」とだけ書かれ、個別の機関名は入らない(令和5年7月〜)。注意事項1が「表面の金額を限度とする自己負担上限額」を、注意事項2が「記載された疾病及び付随して発生する傷病に関する医療に限られる」ことを定めている。

図4 受給者証の左ページの見本(福岡市長発行の様式に沿って作成。番号・氏名等は架空)。右の①〜⑧が、ステーションで確認する場所とその意味。

  1. 「適用区分」と「階層区分」は別のもの階層区分(A/B1/B2/C1/C2/D)は難病の上限月額を決める区分。適用区分(Ⅰ・Ⅱ・一般・現役並みなど)は医療保険の高額療養費の区分で、入院時の限度額や食事の標準負担額の判定に使う。例の受給者証では階層区分B1(低所得Ⅰ=上限2,500円)、適用区分Ⅱ(住民税非課税)となる。
  2. 病名で「別表第七」を判定する例の原発性胆汁性胆管炎は指定難病だが別表第七には入らないので、要介護認定があれば訪問看護は介護保険で動く。その介護保険の1割負担が、この受給者証の上限2,500円の中に入る(SECTION 06)。
  3. 「非該当」は永久ではない人工呼吸器等装着者・高額かつ長期・軽症高額該当の3欄は交付時点の判定。訪問看護が増えて総額5万円超の月が年6回以上になれば「高額かつ長期」の変更申請ができる(低所得Ⅰ・Ⅱは上限が同額なので変わらない。一般所得Ⅰ以上で下がる)。
  4. 有効期間の終了日が、ステーションの請求に直結する終了日の翌日からは公費がなくなる。受給者証の注意事項7は「引き続き継続を希望する場合は必ず有効期間内に最寄りの保健福祉センターで更新の手続を」と定めており、更新には指定医(更新は協力難病指定医でも可)の臨床調査個人票が要る。受診予定と合わせて、終了の2〜3か月前に家族に声をかける。
事務所でよくある誤解 「上限2,500円なら、介護費用の自己負担も全部2,500円に収まる」

収まりません。上限に入る介護費は、介護保険の訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導(介護予防の同種を含む)と介護医療院サービスだけです。訪問介護(ヘルパー)、通所介護・通所リハ、短期入所、福祉用具貸与、住宅改修は特定医療費の対象外で、介護保険の1〜3割をそのまま負担します(表2)。

  • 例:上限2,500円の人が、介護保険の訪問看護(1割)月2,800円、ヘルパー(1割)月9,000円、デイ(1割)月6,000円を使った月。2,500円で止まるのは訪問看護の2,800円だけ(300円は公費)。ヘルパーとデイの15,000円は別に請求され、こちらは高額介護サービス費(非課税世帯なら月24,600円等)の対象になる。
  • さらに、区分支給限度基準額を超えた分は10割で、特定医療費もかからない(福岡県)。
  • 受給者証の注意事項2も「記載された疾病及び当該疾病に付随して発生する傷病に関する医療に限られます」と明記している。介護保険の「医療系サービス」だけが、この「医療」に当たる。

SECTION 05 訪問看護はどの保険から出るか——別表第七と要介護認定

難病の訪問看護で最初に決めるのは「医療保険か、介護保険か」です。判定の順番は決まっていて、先に「厚生労働大臣が定める疾病等」(別表第七)に当たるかを見て、当たらなければ要介護認定の有無で決める。この順番を逆にすると、要介護認定のあるALSの利用者を介護保険で請求してしまう、という誤りが起きます。

図5 難病患者の訪問看護はどの保険で動くか訪問看護は「別表第七」→「要介護認定」の順に見て、使う保険を決める医療保険別表第七の疾病等に該当する例:ALS、多系統萎縮症、パーキンソン病(ヤール3以上かつ生活機能障害度Ⅱ以上)、人工呼吸器を使用している状態 など→ 年齢・要介護認定を問わず医療保険。週4日以上、1日複数回、複数の事業所が可能介護保険別表第七に該当せず、要介護(要支援)認定がある65歳以上、または40〜64歳で16特定疾病に該当して認定を受けた人→ ケアプランに位置づけ、区分支給限度基準額の枠内で訪問する医療保険別表第七に該当せず、要介護認定もない40〜64歳で特定疾病に入らない難病、認定を申請していない人 など→ 原則週3日まで。急性増悪等の特別訪問看護指示で一時的に毎日が可能どちらの保険で動いても、都道府県・指定都市の指定を受けた訪問看護ステーションなら特定医療費の対象。医療保険の3割は2割に下がり、介護保険の1割はそのまま。どちらの自己負担も「自己負担上限額管理票」の累積に入り、上限で止まる。

図5 難病患者の訪問看護の保険判定。別表第七の該当者は年齢・認定を問わず医療保険。詳しくは既存コラム「訪問看護は医療保険?介護保険?公費は?」。

制度メモ 別表第七(厚生労働大臣が定める疾病等)

末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病〈ホーエン・ヤール重症度分類ステージ3以上かつ生活機能障害度Ⅱ度またはⅢ度〉)、多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、後天性免疫不全症候群、頸髄損傷、人工呼吸器を使用している状態。

該当すると訪問看護は医療保険になり、週4日以上・1日複数回・2か所(週7日計画なら3か所)のステーションが可能。令和8年度診療報酬改定の告示・通知は厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」から確認できる。

  1. 「指定難病」と「別表第七」は別のリスト指定難病348疾病のうち別表第七に入るのは一部。潰瘍性大腸炎、クローン病、全身性エリテマトーデス、IgA腎症などは指定難病だが別表第七ではないので、65歳以上で要介護認定があれば訪問看護は介護保険になる。逆に「末期の悪性腫瘍」「人工呼吸器を使用している状態」は別表第七だが指定難病ではない。
  2. 40〜64歳は「16特定疾病」で介護保険の入口が開く第2号被保険者は、パーキンソン病関連疾患・ALS・脊髄小脳変性症・多系統萎縮症・後縦靱帯骨化症・早老症などの16特定疾病に該当すれば要介護認定を申請できる。ただし別表第七に当たる人の訪問看護は、認定があっても医療保険(図5の1段目が先)。
  3. 介護保険で動く難病の訪問看護は、区分支給限度基準額の枠に入る限度額を超えた分は10割の自己負担になり、特定医療費の対象にもならない福岡県「介護保険の利用限度額を超えた介護サービス」は対象外)。訪問回数を増やす前に、ケアマネジャーと枠の残りを確認する。

SECTION 06 特定医療費は「介護保険の訪問看護」にも効く——対象と対象外

見落とされやすいのは、特定医療費が医療保険だけの制度ではないことです。介護保険で提供される訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導(と介護予防の同種サービス、介護医療院サービス)は、指定医療機関が行うものなら特定医療費の対象になり、自己負担は管理票の累積に入ります。一方、訪問介護(ヘルパー)や通所は対象外です。

サービス特定医療費自己負担の見方
医療保険診察・薬剤・処置・手術・入院・在宅療養管理(訪問診療)対象3割→2割。上限月額に入る
医療保険訪問看護(訪問看護療養費)対象3割→2割。上限月額に入る。指定医療機関のステーションに限る
介護保険訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導(介護予防含む)・介護医療院サービス対象3割の人は2割。1割・2割はそのまま。上限月額に入る
介護保険訪問介護(ヘルパー)・通所介護・通所リハ・短期入所・福祉用具貸与・住宅改修対象外介護保険の1〜3割をそのまま負担。高額介護サービス費の対象にはなる
介護保険区分支給限度基準額を超えた分対象外10割の自己負担
共通受給者証の指定難病と無関係な傷病の医療対象外付随して発生する傷病かは主治医の判断
共通保険外(差額ベッド・個室料・交通費・保険外の処置)、入院時食事療養の標準負担額対象外全額自己負担。管理票にも書かない
共通受給者証の有効期間外、指定を受けていない医療機関・薬局・ステーション対象外受給者証交付前の分は償還払いの対象になり得る

表2 特定医療費の対象になるサービスと、ならないサービス。出典:静岡県京都府福岡県難病情報センター

実務のコツ
  • ステーション自身が「指定医療機関」でなければ、利用者は助成を受けられない。指定は都道府県または指定都市(福岡市内の事業所は福岡市長)が事業者の申請に基づいて行う(福岡市福岡県)。新規開設・法人変更・移転のあとは、指定の継続を確認する。
  • 介護保険の訪問看護で特定医療費を使うときのレセプトは、介護給付費明細書の公費欄(法別番号54)で請求する。医療保険は訪問看護療養費明細書の公費欄。どちらも受給者証の「公費負担者番号」「受給者番号」「適用区分」「有効期間」を転記する。伝送前の点検は既存コラム「訪問看護レセプト 伝送前チェック」も参照。

SECTION 07 介護費の上限は別の財布——量・額・年の3つ

特定医療費の上限月額は、介護保険の訪問介護やデイサービスには効きません。難病の利用者の介護費は、介護保険の側にある3つの上限で見ます。「量」の上限(区分支給限度基準額)、「額」の上限(高額介護サービス費)、「年」の上限(高額医療・高額介護合算療養費)。それぞれ単位も申請先も違います。

図6 介護費の3つの上限介護費の上限は3つ。「量」「額」「年」で財布が違う量の上限区分支給限度基準額要介護度ごとの「単位数」の枠。超えた分は10割の自己負担になり、特定医療費の対象にもならない月・単位額の上限高額介護サービス費1〜3割負担の月合計が所得区分の上限を超えた分が払い戻される。世帯で合算、申請制月・円年の上限高額医療・高額介護合算療養費8月〜翌7月の医療保険と介護保険の自己負担を世帯で合算し、基準額を超えた分が払い戻される年・円特定医療費が介護費の側で効くのは、訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導(と介護予防の同種サービス、介護医療院)だけ。訪問介護(ヘルパー)・通所・福祉用具・限度額を超えた分には効かない。

図6 介護費の3つの上限。量の上限だけは「超えると10割」で、特定医療費もかからない。額と年の上限は「超えた分が戻る」払い戻し型。

要介護度区分支給限度基準額(月)1単位10円換算のめやす1割負担のときの自己負担
要支援15,032単位約50,320円約5,032円
要支援210,531単位約105,310円約10,531円
要介護116,765単位約167,650円約16,765円
要介護219,705単位約197,050円約19,705円
要介護327,048単位約270,480円約27,048円
要介護430,938単位約309,380円約30,938円
要介護536,217単位約362,170円約36,217円

表3 区分支給限度基準額(令和元年10月改定以降)。1単位の単価はサービス種別と地域区分で10.00〜11.40円。訪問看護は限度額の対象、居宅療養管理指導は対象外。出典:目黒区ほか各保険者の案内。

所得区分月の負担上限
課税所得690万円以上(年収約1,160万円以上)の人がいる世帯140,100円(世帯)
課税所得380万円以上690万円未満(年収約770万〜約1,160万円)の人がいる世帯93,000円(世帯)
市町村民税課税世帯(上記以外)44,400円(世帯)
世帯全員が市町村民税非課税24,600円(世帯)
世帯全員が非課税で、前年の公的年金等収入+その他の合計所得が一定額以下の人24,600円(世帯)/15,000円(個人)
生活保護受給者等15,000円(個人)

表4 高額介護サービス費の負担上限(令和3年8月〜)。1〜3割の自己負担の月合計がこれを超えた分が申請により払い戻される。食費・居住費・限度額超過分は対象外。出典:厚生労働省リーフレット。非課税区分の年金収入等の基準額は毎年8月に見直されるため、判定は保険者(市町村)の通知で確認する。

年齢所得区分年間の基準額(8月〜翌7月)
70歳以上現役並みⅢ(課税所得690万円以上)212万円
70歳以上現役並みⅡ(課税所得380万円以上)141万円
70歳以上現役並みⅠ(課税所得145万円以上)67万円
70歳以上一般56万円
70歳以上低所得Ⅱ(市町村民税非課税)31万円
70歳以上低所得Ⅰ(非課税で所得が一定以下)19万円
70歳未満区分ア/イ/ウ/エ/オ212万/141万/67万/60万/34万円

表5 高額医療・高額介護合算療養費の基準額。医療保険と介護保険の自己負担(高額療養費・高額介護サービス費で戻った分を除く)を世帯で合算し、超えた分が支給される。申請は医療保険の保険者へ。出典:協会けんぽ

実務のコツ
  • 神経難病で介護保険の訪問看護・訪問リハが週数回入り、さらにヘルパーとデイが入る要介護4〜5の世帯では、「量」の限度額が先に来ることが多い。訪問看護を増やしたいのに枠がないときは、別表第七に該当すれば医療保険への切り替え(ケアプランからも外れる)、該当しなければ障害福祉サービス(SECTION 10)の併用を、主治医・ケアマネジャーと相談する。
  • 「額」と「年」の上限は払い戻し型なので、家族が申請しなければ戻らない。多くの市町村では該当月の数か月後に通知が来るが、来ないときは介護保険課へ。時効は2年。

SECTION 08 受給者証がない難病患者は「高額療養費」で見る——2026年8月の見直し

軽症で認定されていない人、更新が切れている人、指定難病でない難病(別表第七の「人工呼吸器使用」だけで訪問している人など)の医療費は、通常の高額療養費で上限を見ます。この高額療養費は、令和8年5月29日成立の医療保険制度改正法により2026年8月診療分から月額の上限が引き上げられ、新たに「年間上限」が設けられました。受給者証のある人でも、難病と無関係な入院(骨折など)の費用はこちらの上限で見ます。

年収のめやす(70歳未満・世帯)月の上限額多数回該当(4回目〜)年間上限(8月〜翌7月)
約1,160万円〜270,300円+1%140,100円168万円
約770万〜約1,160万円179,100円+1%93,000円111万円
約370万〜約770万円85,800円+1%44,400円53万円
〜約370万円(住民税課税)61,500円44,400円53万円※
住民税非課税36,900円24,600円29万円

表6 高額療養費の自己負担限度額(令和8年8月診療分〜、70歳未満)。「+1%」は総医療費(10割)の一定額を超えた分の1%。※年収約200万円以下と確認できた人は年間上限41万円(令和9年8月以降に償還払い)。令和9年8月からは年収約370万円以上の区分がさらに細分化される予定。出典:厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて」協会けんぽ

制度メモ 70歳以上の見直し(令和8年8月〜)
  • 一般(年収約156万〜約370万円):外来(個人)22,000円(年間21.6万円)、世帯61,500円(多数回44,400円)、年間上限53万円。
  • 住民税非課税Ⅱ:外来11,000円(年間9.6万円)、世帯25,700円(多数回24,600円)、年間上限29万円。
  • 住民税非課税Ⅰ(所得が一定以下):外来8,000円(据え置き)、世帯15,700円、年間上限18万円。
  • 現役並み所得者は70歳未満と同じ月額。多数回該当の金額はすべて据え置かれ、「年間上限」が新設された。年間上限の還付は翌年8月以降に保険者から(協会けんぽ厚生労働省)。

訪問看護の現場でこの表が要るのは、「受給者証が切れていた月」「軽症高額該当を目指して医療費総額を数えている期間」です。3割負担で月の医療費総額が33,330円を超える月(自己負担約1万円)が年3回あれば軽症高額の申請ができるので、認定されていない指定難病の利用者には、領収書の「総額」を残しておくよう伝えます。

SECTION 09 管理票の書き方——ステーションの実務5点

自己負担上限額管理票は、利用者が受給者証と一緒に持っている1枚の紙で、月ごとに、機関をまたいで自己負担を累積するためのものです。訪問看護は「毎回徴収」ではなく「月末にまとめて翌月請求」の事業所が多いため、記載の仕方に特有のルールがあります。厚生労働省の「記載方法について(指定医療機関用)」は令和7年4月版が最新です。

図7 自己負担上限額管理票の記載イメージ(訪問看護ステーションの行)自己負担上限額管理票の記載イメージ(例:一般所得Ⅰ・上限10,000円・医療保険2割)日付指定医療機関名医療費総額(10割)自己負担額自己負担累積額(月額)9/3○○病院18,000円3,600円3,600円9/3△△薬局15,000円3,000円6,600円9/30ふくろう訪問看護(月末まとめ)26,000円3,400円10,000円9/30□□病院(上限到達後の受診)9,000円0円(斜線)自己負担上限月額に達した日・指定医療機関名:9月30日 ふくろう訪問看護リハビリステーション・訪問した日ごとでも、月末日付でひと月分をまとめて記載してもよい(翌月請求のときは月の累積を確認して徴収)・医療費総額は「指定難病に関する分」だけを書く。難病と無関係な診療分は書かない・介護保険の1円単位の請求は、自己負担額欄は10円未満を四捨五入、総額は1円単位で書く・上限到達後の訪問も医療費総額は書く(「高額かつ長期」の判定に使われる)。累積額欄は斜線

図7 訪問看護ステーションの行を含む管理票の記載例。ステーションの徴収額は「上限までの残り」になる。出典:厚生労働省「特定医療費に係る自己負担上限額管理票等の記載方法について(指定医療機関用)」令和7年4月、栃木県・三重県の指定医療機関向け案内。

  1. 訪問看護は「月末日付でひと月分まとめて」記載できる原則は受診した日に徴収し記載するが、訪問看護のように利用した翌月に請求する場合は、その月の累積額を確認したうえで徴収し、まとめて記載する。その際、すでに上限に達していれば全額を公費に請求し、達していない分だけ本人に請求する(厚生労働省 記載方法・愛媛県掲載三重県Q&A栃木県)。
  2. 管理票を預からない口座引き落としの確認を待って記載したいという理由で管理票を預かると、利用者が他の医療機関で受給者証を使えなくなる。記載順を機関間で決めておく方法もある(例:①薬局 ②病院・診療所 ③訪問看護ステーション)(三重県Q&A)。
  3. 医療費総額は「指定難病に関する分」だけ、上限到達後も書く難病と無関係な診療分の総額は書かない。上限に達した後の訪問も総額欄は記載する。この総額が「高額かつ長期」の判定資料になる(栃木県)。
  4. 介護保険の1円単位は、自己負担額欄だけ10円未満を四捨五入本人への請求は1円単位で行い、管理票の自己負担額欄は10円未満を四捨五入、総額欄は1円単位で書く(三重県Q&A)。
  5. 上限に達したら「達した日と機関名」を書き、以後その月は徴収しない受給者証に「自己負担上限月額に達した」機関名の記載がある管理票を持つ利用者からは、その月は徴収しない。人工呼吸器等装着者(上限1,000円)はほぼ毎月、月初の1回目の訪問で達する(難病情報センター)。
注意
  • 受給者証を忘れた・届く前の訪問で3割を徴収した場合は、あとから「特定医療費請求書」(介護給付費の場合は「特定医療費(介護給付費等)請求書」)で差額の払い戻しができる。ステーションが保険点数等を証明する欄がある(横浜市FAQ。様式と流れは自治体ごとに確認)。
  • 月をまたぐ計画変更(介護保険→医療保険の切り替えなど)があった月は、どの保険の自己負担も同じ管理票に累積する。切り替え月の請求先だけが変わり、上限は変わらない。

SECTION 10 障害福祉サービスと、福岡の上乗せ制度

介護保険では足りない介助量を埋めるのが障害福祉サービスです。障害者総合支援法の対象疾病(難病等)は令和7年4月から376疾病で、身体障害者手帳がなくても、診断書または受給者証の写しで申請できます。利用者負担は月額上限方式で、生活保護・市町村民税非課税は0円、一般1(居宅・所得割16万円未満)9,300円、一般2は37,200円です。

  1. 介護保険優先の原則がかかる65歳以上、または40〜64歳で16特定疾病に該当して要介護認定がある人は、同じ内容のサービスは介護保険が優先。介護保険にない・足りない部分(重度訪問介護の長時間見守り、同行援護など)を障害福祉で補う形になる(厚生労働省)。
  2. 重度訪問介護は「見守りを含む長時間」が組めるALSなど常時介護を要する人で障害支援区分4以上等の要件を満たすと、入院中の意思疎通支援を含めて長時間の介助が組める。申請は区の障がい者相談窓口、認定には障害支援区分の調査が要る。
  3. 「登録者証」が申請の入口になる医療費助成の対象にならない軽症者でも、指定難病登録者証があれば障害福祉サービスの申請時の疾病証明に使える(難病情報センター)。
福岡県・福岡市の制度

在宅人工呼吸器使用患者支援事業——受給者証(特定医療費または特定疾患)を持ち、認定疾病を主因として在宅で人工呼吸器を使い、医師が訪問看護を必要と認める人が対象。委託契約を結んだ訪問看護ステーションが1日4回目以降に行った訪問看護の費用を、公費(診療報酬外)で支払う。回数は原則週5回・年間260回が限度(病状により週5回超も年260回の範囲で可、事前相談)。福岡市在住者は福岡市(各区保健福祉センター健康課)、それ以外の県内は福岡県に申請する。申請はステーションが代行できる(福岡市福岡県)。

その他の窓口——福岡県・福岡市難病相談支援センター(九州大学病院内。難病相談 092-643-8292、療養生活相談 092-643-1379)は制度の相談先として利用者に案内できる。福岡市の医療費助成の申請・更新・変更は各区保健福祉センター健康課(福岡市)。

当ステーションの視点

上限額は、看護計画の一部です

難病の利用者の訪問回数は、病状だけで決まりません。「上限に達しているか」「限度額の枠が残っているか」で、同じ看護が家計に与える重さが変わります。私たちは、お金の情報を事務の仕事ではなく、アセスメントの一部として扱うべきだと考えています。

  1. 受給者証の有効期限を、バイタルと同じ「毎月見る項目」にする切れた月は、その月のすべての医療費が3割に戻り、上限も消えます。訪問看護は翌月請求なので、切れてから気づくのは事務所です。訪問している看護師が先に気づける立場にいます。
  2. お金の話は「払えますか」ではなく「上限はいくらですか」から始める家族の多くは自分の上限月額を知らないまま、毎月の請求を眺めています。受給者証の上限額を一緒に読むだけで、不安の形が変わります。
  3. 「限度額いっぱいだから増やせない」を、看護の結論にしない介護保険の枠が足りないなら、別表第七に該当するか、障害福祉サービスが使えるか、在宅人工呼吸器の支援事業に乗るかを、主治医・ケアマネジャーと一緒に確かめます。枠の外に道があることを知っているのは、制度を知っている人だけです。
  4. 管理票の一行は、他機関への手紙だと考える私たちの徴収額の次に薬局が書き、その次に病院が書きます。総額欄が正しいから「高額かつ長期」の申請ができ、上限額が半分になる家族がいます。

SECTION 11 難病患者の担当を始めるときのチェックリスト

  • 受給者証:あるか/指定難病の病名/自己負担上限月額と階層区分/有効期間/人工呼吸器等装着者・高額かつ長期・軽症高額該当の3欄/同一世帯の他の受給者(按分)
  • 管理票:今月の累積額/どの機関が先に書いているか/記載順の取り決め
  • 別表第七:該当するか(パーキンソン病はヤール3以上かつ生活機能障害度Ⅱ以上か、指示書の病名と重症度で確認)
  • 使う保険:医療保険か介護保険か。介護保険なら区分支給限度基準額の残り、負担割合(1〜3割)
  • ステーションの指定:自分の事業所が難病の指定医療機関か(福岡市・福岡県の指定状況ページで確認)
  • 付随する傷病:今回の処置は指定難病に付随するものか。無関係なら別扱い
  • 受給者証が届く前:3割で徴収した分の償還払いの案内をしたか
  • 軽症高額:認定されていない指定難病なら、総額33,330円超の月を数えているか
  • 介護費の上限:高額介護サービス費・合算療養費の申請案内をしたか(払い戻し型)
  • 障害福祉:介護保険で足りない介助量があるか。登録者証・376疾病の該当
  • 人工呼吸器:1日4回目以降の訪問が必要なら、在宅人工呼吸器使用患者支援事業への登録
  • 更新時期:有効期間終了の数か月前から更新の案内があるか、主治医(指定医)の受診予定と合っているか

SECTION 12 よくある質問

Q

受給者証が届く前に訪問が始まりました。3割で徴収してよいですか?

A

3割で徴収し、交付後に差額を払い戻す扱いになります。助成の開始日は診断日等まで遡る(原則1か月、最長3か月)ので、届いたら受給者証の「支給開始日」を確認し、その日以降の分は「特定医療費請求書」で自治体に請求できることを家族に伝えてください(介護給付費分は「特定医療費(介護給付費等)請求書」)。ステーションが保険点数等を証明します。

Q

介護保険の訪問看護で1割負担の利用者です。受給者証があると何が変わりますか?

A

負担割合は1割のまま変わりません。変わるのは、その1割の自己負担が管理票の累積に入り、月の上限で止まることです。訪問回数が多い神経難病では、介護保険の訪問看護の1割だけで上限に達することもあります。到達後はその月の徴収はなく、残りは公費(法別54)に請求します。

Q

ALSの利用者の褥瘡処置と、糖尿病のインスリン管理を同じ訪問で行っています。全部が助成の対象ですか?

A

対象は「受給者証の指定難病と、それに付随して発生する傷病」の医療です。褥瘡が寝たきりに伴うものならALSに付随すると判断されることが多いですが、糖尿病は通常は別の傷病です。訪問看護療養費は訪問単位なので、実務上は主治医の判断と指示書の病名に沿って請求します。迷う場合は自治体の難病担当に確認してください。

Q

上限に達した後の訪問も管理票に書く必要がありますか?

A

あります。自己負担額は0円(累積欄は斜線)ですが、医療費総額(10割)は書きます。この総額の記録が「高額かつ長期」(5万円超の月が年6回以上)の判定資料になり、一般所得Ⅰなら上限が10,000円から5,000円に下がります。書き忘れは家族の負担に直結します。

Q

58歳のパーキンソン病(ヤール3、生活機能障害度Ⅱ)の利用者で、要介護2の認定があります。訪問看護は介護保険ですか?

A

医療保険です。40〜64歳のパーキンソン病関連疾患は16特定疾病なので要介護認定は受けられますが、ヤール3以上かつ生活機能障害度Ⅱ度以上なら別表第七に該当し、訪問看護は認定の有無にかかわらず医療保険になります(週4日以上・1日複数回が可能)。ヘルパーやデイ、福祉用具は介護保険で使い、訪問看護だけがケアプランの外に出る形です。指示書の重症度の記載を確認してください。

Q

事務員から「この受給者証は上限2,500円だから、介護費用の自己負担も合わせて2,500円に収まる」と言われました。事実ですか?

A

一部だけ事実です。2,500円の中に入るのは、医療保険の医療費(病院・薬局・医療保険の訪問看護)と、介護保険のうち訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導(介護予防含む)・介護医療院サービスの自己負担です。ヘルパー・デイサービス・ショートステイ・福祉用具・住宅改修の自己負担は上限に入らず、介護保険の1〜3割をそのまま払います。その分は高額介護サービス費(月)と高額医療・高額介護合算(年)で見ます。また、区分支給限度基準額を超えた分は10割です。

Q

受給者証の更新を忘れて、1か月切れていました。どうなりますか?

A

切れていた期間の医療費は3割負担で、上限もかかりません。更新申請の遡りは新規と扱いが異なるので、まず住所地の窓口(福岡市は各区保健福祉センター健康課)に相談してください。ステーションとしては、切れていた月の請求は公費なしで行い、再交付後の受給者証の有効期間を確認してから公費請求に戻します。

SECTION 13 ご利用・採用のご案内

ふくろう訪問クリニック

福岡市早良区の訪問診療(在宅医療)

  • 緩和ケア・難病・精神科・認知症の訪問診療
  • 神経難病の在宅療養、人工呼吸器・胃ろうの管理
  • 病院の専門医と連携する「二人主治医制」

医療費助成・介護保険の使い方についても、ご相談ください。

https://fukurou.fukuoka.jp

ふくろう訪問看護リハビリステーション

看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が訪問

  • 神経難病・末期がん・精神科の訪問看護に対応
  • 神経難病の在宅療養(人工呼吸器・胃ろう・排痰ケア)のリハビリを含む訪問
  • 同一法人のクリニックと連携した24時間対応

電話 092-834-8581(平日 9:00〜18:00)

https://nurse-fukurou.jp/

採用のご案内

制度を知っている看護師は、断らないために制度を使えます。一緒に働きませんか

直接応募限定

入職祝い金20万円

人材紹介会社を通さない直接応募がいちばん早く、メリットも大きいと考えています。

  • 日程が早く決まる
  • 勤務日数・1日の訪問件数・オンコールの有無を、条件を決める人と直接相談できる
  • 紹介手数料がかからないぶんを、入職祝い金として還元

募集職種:看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(常勤・非常勤)。訪問看護未経験の方も歓迎します。

電話092-834-8581(平日 9:00〜18:00)
メールnurse@fukurou.fukuoka.jp

採用ページhttps://nurse-fukurou.jp/recruit/

SECTION 14 参考資料

  1. 難病情報センター「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」(自己負担上限額表 2026年7月1日更新)
    https://www.nanbyou.or.jp/entry/5460
  2. 難病情報センター「指定難病一覧」
    https://www.nanbyou.or.jp/entry/5461
  3. 難病情報センター「難病患者さまとご家族向け支援ガイドブック」(2026年3月)
    https://www.nanbyou.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/20260325_shien1f.pdf
  4. 名古屋市「特定医療費(指定難病)助成制度の概要」(指定難病348疾病、令和8年4月現在)
    https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/iryou/1034391/1009684/1009685/1009686.html
  5. 大阪市「指定難病医療費助成制度の概要について」(低所得Ⅰ・Ⅱの基準額 82.65万円、令和8年7月申請分〜)
    https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000428077.html
  6. 厚生労働省健康・生活衛生局難病対策課「特定医療費に係る自己負担上限額管理票等の記載方法について(指定医療機関用)」令和7年4月(愛媛県掲載)
    https://www.pref.ehime.jp/page/17756.html
  7. 栃木県「特定医療費(指定難病)自己負担上限額管理票について」
    https://www.pref.tochigi.lg.jp/e04/nanbyo/2023119.html
  8. 三重県「指定医療機関の方から寄せられているご質問について」(管理票の書き方Q&A)
    https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000623509.pdf
  9. 福岡県「難病医療費助成制度について」/福岡県がん感染症疾病対策課 制度説明資料(PDF)
    https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/nanbyou270101.html
    https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/218784.pdf
  10. 福岡市「難病医療費助成制度について」/「難病指定医療機関の申請手続きについて」
    https://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/hokensho/nanbyo/joseiseido/nannbyou30.html
    https://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/hokensho/nanbyo/sitei/nannbyouiryoukikan.html
  11. 福岡市「福岡市在宅人工呼吸器使用患者支援事業」/福岡県「福岡県在宅人工呼吸器使用患者支援事業」
    https://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/seishinhoken-nanbyo/health/Allergy/hukuokasizaitakujinnkoukokyuuki.html
    https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/nanbyou-zaitaku.html
  12. 静岡県「特定医療費(指定難病)助成制度の概要」/京都府「特定医療費(指定難病)支給認定の概要について」(対象となる介護保険サービス)
    https://www.pref.shizuoka.jp/kenkofukushi/shippeikansensho/nanbyo/1003078/1024318.html
    https://www.pref.kyoto.jp/nanbyou/tokuteiiryougaiyou.html
  13. 福井県「特定医療費(指定難病)支給認定の概要について」(付随して発生する傷病、複数機関の合算、医療機関変更申請の廃止)
    https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/kenkou/siteinnanbyou-gaiyou.html
  14. 横浜市「特定医療費(指定難病)よくあるご質問」(償還払い、令和8年3月からの保険情報の取扱い)
    https://www.city.yokohama.lg.jp/kenko-iryo-fukushi/kenko-iryo/iryo/nanbyo/joseiseido/yokuarugoshitumon.html
  15. 厚生労働省「医療保険制度改正法が成立しました」(高額療養費の年間上限の新設など)/「高額療養費制度の見直しについて」(PDF)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_00014.html
    https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001661792.pdf
  16. 協会けんぽ「【制度改正】令和8年8月から高額療養費制度が見直されます」/「高額介護合算」
    https://www.kyoukaikenpo.or.jp/about/business/public_relations/009/002/index.html
    https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/high_cost_medical_expenses/003
  17. 厚生労働省「高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」(令和3年8月〜)
    https://www.mhlw.go.jp/content/000334526.pdf
  18. 目黒区「区分支給限度額」(区分支給限度基準額の一覧)
    https://www.city.meguro.tokyo.jp/kaigohoken/kenkoufukushi/koureisha/kubunsikyugendogaku.html
  19. 厚生労働省「障害者総合支援法の対象疾病(難病等)」/大阪市「障害者総合支援法の対象となる難病が追加されます」(令和7年4月〜376疾病)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/hani/index.html
    https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000204533.html
  20. 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(訪問看護療養費の告示・通知、別表第七)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html

本記事は2026年9月3日時点で公表されている行政情報に基づいて作成しました。上限額・基準額・対象疾病は毎年見直されるため(低所得区分の年収基準は毎年7月、高額療養費・高額介護サービス費は8月に改定されることがあります)、請求・徴収の判断は必ず受給者証の記載と、自治体・保険者の最新の案内で確認してください。個別の利用者の適用区分や助成の可否は、住所地の都道府県・指定都市の難病担当窓口が判断します。

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この記事を書いた人

福岡生まれ、筑紫丘高校卒業、九州大学医学部卒業後、東北の地域中核病院で初期研修医・救急医として勤務し、その後東京の国立がん研究センター中央病院、東京大学病院に勤務。地元の福岡に帰ってきて2023年1月に:ふくろう訪問クリニック(旧:つくし訪問クリニック早良)を開院。2025年5月に医療法人「ふくろうの樹」設立。2025年11月「ふくろう訪問看護リハビリステーション」を開院。

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